takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アトミック パワー・解き放たれた力-11

前回は、パキスタン、「核兵器開発の父」アブドル カデイル カーン博士のことを少し書きました。彼は、日本を度々訪れ核兵器開発に必要な部品や装置を購入しています。例えば、共同通信のインタビューには「1984年に日本を訪れ、いくつか重要な部品を注文し…

アトミック パワー・解き放たれた力-10

マンハッタン計画の中ではできませんでしたが、その後の冷戦中に画期的なウラン濃縮方法が考えられました。ウラン235を分離するもっとも効率的な最新の方法は、ガス遠心分離機を使う方法です。もし皆さんが遊園地で高速回転する大きな円筒形の乗り物の壁に押…

アトミック パワー・解き放たれた力-9

マンハッタン計画の中で、最初の困難な課題はウラン235の濃縮でした。実際、ロスアラモス研究所に集まった世界中の優秀な科学者達は様々なアイデアを出し合い実験を繰り返します。 以前も書きましたが、地中から採掘される天然のウランは、99.3%が爆発しな…

アトミック パワー・解き放たれた力-8

少し間が開いてしまいましたが続けます。放射性物質に秘められた巨大なパワーは、その秘密が徐々に解き明かされ人工的に開放されました。マンハッタン計画では、1945年7月16日にニューメキシコ州のアラモゴード軍事基地近郊の砂漠で人類最初の原爆実験(トリ…

訃報・クラウディオ アバァド

今日から原子力の話に戻るつもりでしたが、元ベルリン フィルの指揮者クラウディオ アバァド氏が本年1月20日亡くなったことを昨日知りました。音楽に詳しくはないのですが、アバァドのファンだった私としては、一言書いておきたいと思います。 クラウディオ …

本の置き場

もう一回、違う話です。 私は、マンションに住んでいます。16畳のリビングを自分の書斎にしている訳ではないので数年前に本の置き場は無くなってしまいました。函館の実家、会社の倉庫、自宅の3ヶ所に分散して保管していたのですが、調べ物をする時はとても…

アベノミクスは「忙しい」?

今日は、話題を変えます。 私は、医療機器を製造販売している会社に勤務しています。元々商社だった会社なので販売会社の色が濃い会社です。 通常、医療機器、特に高度医療器は景気の影響をあまり受けません、生きるか死ぬかの瀬戸際になれば大抵の人は助か…

アトミック パワー・解き放たれた力-7

今年は、最終的に福島の原子力発電事故のことを書きたくて、その前に原子力開発の歴史のことを調べながらこれを書いています。本の資料としては現在以下のもが手元にあります。 「オッペンハイマー」・中沢 志保著‐中公新書 「オッペンハイマー〈上・下巻〉…

アトミック パワー・解き放たれた力-6

マンハッタン計画を一言で言うと、第二次世界大戦中、ドイツの原爆開発に焦ったアメリカ、イギリス、カナダが原子爆弾開発・製造のために、科学者・技術者を総動員した計画です。ご承知の通り、計画は成功し原子爆弾が製造されました。さらに、1945年7月16日…

アトミック パワー・解き放たれた力-5

ここで、核兵器そのものについて触れておきます。マンハッタン計画で製造されたのは、原子爆弾です。後に「水爆の父」と呼ばれるエドワード テラーは、マンハッタン計画に参加した時から「より破壊力のある水爆を作るべき」と主張しましたが、その意見は取り…

アトミック パワー・解き放たれた力-4

いよいよ、マンハッタン計画に入ります。政治的な部分にはほとんど触れず、科学技術の分野に絞ってご説明します。 最初に年代を追った説明をします。1939年8月2日、レオ シラードが、アインシュタインの署名を得た手紙を合衆国大統領フランクリン ルーズベル…

アトミック パワー・解き放たれた力‐3

後に原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーは、1936年33歳の若さでバークレーにやって来ました。彼は、新聞も読まずラジオも聴かないという生活を送りながら(当時まだテレビは一般的ではありません)、物理の研究に没頭していたようです。1929年にアメリカを…

アトミック パワー・解き放たれた力-2

当初、放射性物質から取り出すことができる大きなエネルギーは、凄まじい破壊力を持った爆弾として利用されました。平和利用なんて誰も考えないのです。 これから、10回ぐらいで核エネルギーを利用した2種類の爆弾とそれを作り上げた2人の父親(母親?)につ…

アトミック パワー・解き放たれた力-1

フエルミやシラードのアイデアによって、世界最初の原子炉「シカゴ パイル1号(通称CP-1)」は人間の力で制御しながら核分裂の連鎖反応が行えることを実証しました。1942年12月2日のことです。その後すぐに、核分裂の連鎖反応を一瞬で行い膨大なエネルギーを…

アトミック パワー・その黎明期-7

黎明期の最後は、私が好きなイタリア出身の科学者エンリコ フェルミ(1901年9月29日 ~ 1954年11月28日)に登場してもらいます。フェルミは、放射性元素の発見で1938年のノーベル物理学賞を受賞しています。実験物理学と理論物理学の、双方において世界最高…

アトミック パワー・その黎明期-6

「RDD」、放射性物質散布装置(英:Rradiological Dispersion Device)のことを書こうと思ったのですが、あれは黎明期のものではありません。ごく最近のものであり装置というよりも兵器あるいは爆弾です。しかし、今の所実戦配備は確認されていません。ですの…

アトミック パワー・その黎明期-5

原子の力(アトミック パワー)は、19世紀末にその不思議な現象が確認され、20世紀初頭の物理・化学学会はその解明と応用にわき上がりました。しかし、1945年8月6日に広島、9日に長崎と原子爆弾が投下されその破壊力を見たときから人々の反応は少しづつ変化…

アトミック パワー・その黎明期-4

当然のこととは言え、19世紀末頃は放射線の危険性は認識されていませんでした。それは、20世紀初期の頃でもそれほど変りません。20世紀前半に作られた腕時計の長針・短針、あるいは文字盤には暗闇で光る放射生物質ラジウムが塗られていました。放射線と聞い…

アトミック パワー・その黎明期-3

欧州大陸側の科学者は大活躍の時期でしたが、その他の場所でも重要な発見がなされていました。1899年~1900年にかけてラジウムを研究していたニュージーランンド人のアーネスト ラザフォード(1871~1937年)が、モントリオールのマギル大学在職中に、アルフ…

アトミック パワー・その黎明期-2

昨日、ポーランド出身の女性科学者マリア スクウォドフスカ キュリーのことを、お話ししました。19世紀末の西欧には、アトミック パワーに注目し後に単位の名前になるような大勢の科学者がいました。マリーよりも、22歳年上で髭もじゃの写真で有名なヴィルヘ…

アトミック パワー・その黎明期-1

「放射能」と聞くとそれだけで恐ろしいものと感じる方もいます。昨年暮れの失敗学会年次大会で中尾政之東京大学大学院教授は、「現在、原子力専門の先生達の間では、” このまま原子力のことなど学校で教えて良いのか ”と言う問題で議論が行われている」、と…

ロルフ マキシミリアン シーベルトさんだけは覚えましょう-3

ロルフ マキシミリアン シーベルト氏(1896年~1966年)には、ルイス ハロルド グレイ氏(1905年~1965年)と言う名の同時代を生きたお友達がいます(本来の意味の友人ではありません、単位の仲間としての意味です)。 ある物質が放射線に照射されたとき、そ…

ロルフ マキシミリアン シーベルトさんだけは覚えましょう-2

シーベルト(Sv)は、SI単位に入っています。しかし、人体への影響を考慮して計算に用いられる係数は絶対的なものではありません。若干の誤差は含まれます。その辺りが、放射線の影響を難しく、かつ怪しくするもとになっていると思われます。しかし、誤差が…

ロルフ マキシミリアン シーベルトさんだけは覚えましょう-1

放射線の単位は色々あって混乱の元になることがあります。私の場合、医療機器製造に携わっていますので、個人的興味もあって色々調べて理解するようにしてきました。今日は、その中で一番重要と思われるところだけを簡単にお伝えしたいと思います。 放射線・…

技術士口頭試験対策-準備編・7(総合技術監理)

平成25年度受験者の皆さん、どんなお正月を過ごされていますか? 私は、元旦も会社へ出勤しますので昨年の受験の時も同じように過ごしました。正直、正月も普段も生活リズムは変りません。と、言いますか変えるのが嫌なのです。ですから、昨年総監の口頭試験…

新年明けましておめでとうございます

旧年中は大変おせわになり、ありがとうございました。 本年も宜しくお願い申し上げます。 初詣、帰省などで事故に遭うことのないようにお気を付け下さい。事故原因の大半は、周囲および本人の不注意によるものです。また、一寸したことが原因となります。注…