takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

福島原発事故-12

ここで、もう一度1~4号機の状況を整理します。 1)1号機 使用済み燃料-292本 津波後3時間で炉心損傷開始 津波後24時間で水素爆発 2)2号機 使用済み燃料-587本 津波後76時間で炉心損傷開始 水素は換気窓から抜けたため、水素爆発はせず 津波後73時間で格…

福島原発事故-11

水素爆発は、コンクリートでできている原子炉建屋を吹き飛ばすほどの威力があります。では、爆発した1,3,4号機にはどれくらいの水素があったのでしょうか。 水素の物理的性質として、爆発できる空気との混合比率は、下限は4.10 %、上限は74.2 %もあります…

福島原発事故-10

原発事故の防止は「止める、冷やす、閉じ込める」だと言われています。3月11日の震災では、停止することはできましたが、冷やすことができず結果として閉じ込めることに失敗しました。放射性物質をまき散らす原因となったのは原子炉建屋の水素爆発です。ここ…

福島原発事故-9

少し余談になりますが、私は、福島、宮城、岩手の三県出身者にほとんど知り合いがいません。そのため、震災の被災者にも知り合いはいませんでした。そんな私ですが、ただ1人だけ、東日本大震災の被災者で私の唯一の知り合いに渡辺隆行さんと言う方がいらっし…

福島原発事故-8

福島民報という福島県の地元新聞があります。当然なのかも知れませんが、この新聞社は精力的・継続的に福島原発の事故を取上げ詳細な報道を行っています。東日本大震災に関する新聞社のデータベースとしては、最も充実していると言って良いでしょう。宮城県…

福島原発事故-7

昨日はあまりに手抜き記事だったので、今日も書くことにします。実際に資料を何冊も読みながら書き進めているので時間は足りないのですが愚痴を言っても何もなりません。間違った説の流布や、都市伝説的な話を広めないために続けたいと思います。 今回の事故…

福島原発事故-6

東北太平洋沖地震の規模は、記録が確かなものだけを比較すると人類史上世界4位の大きさです。以下に並べてみましょう。 地震マグニチュードによる比較 M9.5 1960年 チリ地震 M9.3 2004年 スマトラ(インドネシア)地震 M9.2 1964年 アラスカ地震 M9.0 1868年…

福島原発事故-5

当時の状況 原子力発電機は、「原子炉建屋」と「タービン建屋」の2つで構成されています。一次冷却材ループと呼ばれる炉心を通る水の系統と、使用ずみ核燃料、原子炉格納容器があるのは「原子炉建屋」です。逆に「タービン建屋」には、タービン発電機、復水…

福島原発事故-4

当日の状況 福島第一原発は、東京電力が最初に建設し営業運転を開始した原子力発電所です。場所は、福島県浜通りの双葉郡大熊町と双葉町にまたがり、広さは350万平方メートルあります(大雑把に1900メートル×1850メートルぐらいの広さです)。 地理的に書く…

福島原発事故-3

地震と津波-2 高波、高潮、津波この3つの自然現象は、時々間違われることがありますが、全く異なる現象です。 高波:波浪とも言います。強い風によって引き起こされる水面の上下運動です。また、船舶などが航行することによって後方につくる波は引き波と呼ば…

福島原発事故-2

地震と津波-1 通称「東日本大震災」は、東北太平洋沖地震を発端とする津波や余震・原発事故までを含めた自然災害です。日本政府は、震災による直接的な被害額を16兆円から25兆円と試算しています。この額は、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県の県内総…

インフルエンザと大雪と

身体は、やっと平常通りに戻りました。昨日は、電車が動いたら会社へ行くつもりでしたが、東武東上線は森林公園までしか動かず。森林公園~寄居間は終日不通、それにしてもすごい雪の量でした。私の記憶の中では平成6年(1994年)2月12日の大雪と平成10年(1…

管理体制の不備

この度、めでたくA型インフルエンザと診断されました。 日頃からうがい、手洗いなど注意しているのですがどこかにミスがあったようです。 8日の土曜日あたりから微熱はあったのですが、この程度ならインフルではあるまいと自分で勝手に判断していました。…

平成26年度の技術士試験

日本技術士会のサイトで1月23日に発表がありました。最近原子力バカになっていましたので、すっかり忘れていたのですが、私のメイン業務はこちらです。 平成26年度 技術士第二次試験の実施について 3.試験の日時、試験地及び試験会場 (1) 筆記試験期日総合技…

福島原発事故-1

序章-1 そろそろ、福島原発のことに入ろうかと思います。原子力のことは30回ぐらい色々と書きましたからこのブログを読んで下さった方なら基礎的な知識は十分ではないかと思うからです。今年1年、技術士試験のことを書く時以外は、福島原発の事故について書…

SONY

昨日は、雪の中をはるばる東京の京橋まで行ってきました。地下鉄の駅としては、浅草線の宝町です。 大谷由里子さんの「志縁塾」と言う講師養成講座があるのですが、そこで一日講習を受けて来ました。金曜の夜から会社に泊まり込んで、電車が動くか心配しなが…

2001年宇宙の旅・便乗-2

「2001年宇宙の旅」ですが、昨日改めて見直しました。あれは、数十万年ではなく百万年以上前の人類ですね。多分ホモ ハビリスがモデルだと思います。現在分かっている限り最も初期のヒト属だったホモ ハビリスはヒト属の中では現生人類から最もかけ離れてお…

2001年宇宙の旅・便乗

西瓜男さんが『2001年宇宙の旅』についてブログ上で言及されています、私も便乗してこの映画について書いてみたいと思います。なぜなら、私もこの映画が大好きだからです。 スタンリー キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』(1968年)は、冒頭のプロロ…

アトミック パワー・大いなる力の制御-6

ここで、単位の話をもう一度。 ジェームズ ワットは、健康な馬一頭が可能な仕事率を計測し、この単位を「馬力(horse power)」と名づけました(正確には英馬力)。この用語は、馬に取って代わった自動車の仕事率を表すために、いまでもごく一般的に用いられて…

アトミック パワー・大いなる力の制御-5

前後の繋がりが悪いままで書き進めていますが、その辺りはブログですので勘弁して下さい。原発事故の詳細を説明する時はもっと上手くまとめるつもりです。現在、調査報告書を読み始めたところですが、それぞれ1000ページもあって比較検討を精緻にやったら1年…

アトミック パワー・大いなる力の制御-4

もう一度、発電時に必要な燃料の比較をします。大いなる力の制御-1の時に書きましたが原子力発電では、計算上出力100万KWに対し1日3キロの燃料が必要です。しかし、実際は全部を使い切ることはできずロスがでます。そのため、1年間で2.1トンほどのウランが必…

アトミックパワー・大いなる力の制御-3

日本には、54基の原子力発電炉がありました。しかし、福島第一の6基は全て廃炉が決り残るは48基、他に青森県大間に建設中のものが1基、山口県熊毛郡に計画されているものが1基あります。大きな産業のない田舎では、巨大なエネルギーを生み出す原子力発電所の…

アトミックパワー・大いなる力の制御-2

日本では昭和20年の敗戦後、連合国から原子力に関する研究が全面的に禁止されていました。しかし、昭和27年(1952年)4月にサンフランシスコ講和条約が発効し、原子力に関する研究は解禁されることになりました。 日本における原子力発電は、昭和29年(1954…

アトミック パワー・大いなる力の制御‐1

原子力発電(nuclear electricity generation)とは、原子核分裂力を利用した発電です。 現在の日本で主力の発電であるガス火力発電なら、天然ガスを燃焼させたエネルギーで水を沸騰させ蒸気を発生させます。石油や石炭も原理は全く同じです。原子力発電がこ…