新年明けましておめでとうございます
旧年中は大変おせわになり、ありがとうございました。
本年も宜しくお願い申し上げます。
初詣、帰省などで事故に遭うことのないようにお気を付け下さい。事故原因の大半は、周囲および本人の不注意によるものです。また、一寸したことが原因となります。注意しましょう。
話は変ります。本来なら昨年中にアップした方が良かったのですが、昨年一年間で読んだ本のベスト10の簡単な紹介とこれから読む本の紹介が今年最初のブログ記事です。
10位:フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる (生活人新書) [新書]
著者:築山 節
出版社: 日本放送出版協会 (2005/11)
発売日: 2005/11
脳がボケる原因は、生活習慣にある、また全ての脳はボケるようにできていると言う主張です。毎日同じ事をするのではなく、常に新しい刺激を入れ、忘れていたことを思い出し、日記を付けて記録しておくことがボケの防止になるというものです。まあ、言われてみれば当然とも言えます。
9位:俺のイタリアン、俺のフレンチ ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方
著者:坂本孝
出版社:商業界
発売日:2013年04月
いわゆるビジネス書です(このジャンルの定義は良く分りませんが)。ブックオフの創業者坂本孝氏が全く新たに創業し現在、銀座、新橋で長蛇の列を作っている人気レストランの誕生物語です。坂本氏の熱意が伝わってくる本です。これくらいの熱意がないと創業なんてできないとも考えてしまいます。
8位:失敗のメカニズム 忘れ物から巨大事故まで
著者:芳賀繁
出版社:角川書店
発売日:2003年07月
筆者は、産業心理学と人間工学がご専門の立命館大学教授です。工学的側面ではなく人間の心理学的側面から事故について論じている本で勉強になります。
7位:科学者の不正行為 捏造・偽造・盗用
著者:山崎茂明
出版社:丸善
発売日:2002年03月
著者は愛知淑徳大学教授、図書館情報学博士、専門は、科学コミュニケーションと科学情報メディア論です。この本では、科学者の不正行為を研究発表の視点から分析し、一般の人には分らない科学者の活動を目に見える実態として提示し、詳細に検討しています。
6位:脳がつくる倫理 科学と哲学から道徳の起源にせまる
著者:パトリシア S チャーチランド
訳者:信原幸弘・樫則章・植原亮
出版社:化学同人
発売日:2013年08月
人間の倫理観、道徳は神経伝達物質のオキシトシンが元になっていると言う主張です。
我々の倫理観は、環境や宗教などから発生するのではなく、脳内ホルモンによるものだという切り口で解説しています。扱っている領域が広すぎて少し読みにくい本ですが、調べながら読むと勉強になるでしょう。
5位:脳に刻まれたモラルの起源―人はなぜ善を求めるのか (岩波科学ライブラリー)
著者:金井良太
出版社:岩波書店
発売日:2013年6月6日
上の「脳が作る倫理」を読み易くしたような本です。しかし、こちらは脳内ホルモンには触れていません。脳の構造そのものと倫理観の関係を調べそこから結輪を出そうとしています。この本では、結論を述べているのではなく、今、世界の脳科学ではこんな研究をしている、この方向で正しいのだと言っています。今後の期待を含めて5位にしました。
4位:コンサルタントが役に立たない本当の理由
著者:日沖健
出版社:中央経済社
発売日:2011年11月27日
コンサルタントである著者が、コンサルタントが役に立たない訳を解説した本です。経営改革の成否は、会社側にあるのですが、それを分っていない経営者が多すぎる。一見、責任転嫁のような本ですが、そうではありません。著者である日沖氏は、問題解決手法の本を何冊も出している名コンサルタントです。この本は、切り口の面白さが類書と大きく異なります。
3位:世界の経営学者はいま何を考えているのか―知られざるビジネスの知のフロンティア
著者:入山章栄
出版社:英治出版
発売日:2012年11月13日
ベストセラーになった本です。日本では大変人気のドラッカーやポーターは、米国では相手にされていないと言う目新しい主張と、エッセイ風の分りやすい文章が良かったのだと思います。経営学のキーワードを勉強するためにもこの本は分りやすく入門者なら打って付けです。
2位:そのとき、エンジニアは何をするべきなのか - 物語で読む技術者の倫理と社会的責任
著者:アラステェア S ガン & アーン ヴェジリンド
訳者:藤本温・松尾秀樹
出版社:森北出版
発売日:2007年11月8日
技術者倫理の問題を架空の物語りとして解説している本です。随所に様々な仕掛けがあって小説として読んでも楽しめます。また、立ち止まって考えさせられる箇所が多く、それが技術者倫理を考える上で重要な問題だったりします。良く考えられた本です。私は、日本でこんな本が生まれないのはなぜなのか考え込んでしまいました。
1位:反社会学講座 (ちくま文庫) [文庫]
著者:パオロ マッツァリーノ
出版社:筑摩書房
発売日:2007年7月
最後、輝く第1位は、私の大好きな社会学者パオロ マッツァリーノさんのデビュー作「反社会学講座」です。文庫化にあたり、3年目の補講と言う形で書き加えられ増補されています。パオロ マッツァリーノという名前は勿論筆名です。本人はどう考えても日本人でしょう。いわゆる、覆面作家です。学識の広さから大学の教員と思われますが、ネットで検索しても様々な説があり、実際に誰なのか分かりません。
しかし、そんなことを調べても仕方がありません。パオロ氏の本は、ユニークな視点と図書館を利用した深く広い調査からでてくる結論に面白さがあります。他の本も面白く、どれにしようか迷ったのですが(私は全て持っています)、今回はデビュー作を選びました。ところで、私は、パオロ氏の本は電車の中で読まないようにしています、読んでいると吹き出してしまうところが多く、周りの人から変な目で見られるからです。
ご本人のサイト「反社会学講座ブログ」はこちら。
以下、ウィキペディアより紹介。
ちくま文庫版(2007年)―「三年目の補講」と題した増補が行われている。
『反社会学の不埒な研究報告』 二見書房 2005年
2009年には筑摩書房より『続・反社会学講座』と改題されて再版。「四年目の補講」と題した増補が行われている。
『つっこみ力』 筑摩書房(ちくま新書) 2007年
『コドモダマシ -ほろ苦教育劇場-』春秋社 2008年・角川文庫版 2011年
『日本列島プチ改造論』大和書房 2009年・角川文庫版 2012年
『13歳からの反社会学』角川書店 2010年・角川文庫版 2013年
『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談』二見書房 2011年
『怒る!日本文化論』技術評論社 2012年
『ザ・世のなか力 そのうち身になる読書案内』春秋社 2013年6
これから読む本は、以下のような本です。
- 自分を知り、自分を変える 適応的無意識の心理学
- グリンネルの科学研究の進め方・あり方 ―科学哲学・新発見の方法・論文の書き方・科学政策・研究者倫理・遺伝病・生命倫理・科学と宗教
- 最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか
- 感動を売りなさい―相手の心をつかむには「物語(ストーリー)」がいる
- 「心理テスト」はウソでした、受けたみんなが馬鹿を見た
- 性格のパワー 世界最先端の心理学研究でここまで解明された
- 原発メルトダウンへの道 原子力政策研究会100時間の証言
- 証言 班目春樹 原子力安全委員会は何を間違えたのか?
- 福島原発で何が起こったか 政府事故調技術解説
- 発想をカタチにする技術 新しさを生みだす“ありきたり”の壊し方
これから読む本を並べていると、それだけで楽しいですね。今年も良い本とたくさん出会えることを願っています。