電磁波と放射線-1
度々ですが横道にそれます、今週は纏まった時間が取れないので雑学的な話になりそうです。申し訳ありませんが調べることの少ない話で終わらせます。
放射線の中で電離を起こすエネルギーの高いものを電離放射線、そうでないものを非電離放射線と分ける場合があります。ただし、一般に放射線とは、エネルギーの高い電離放射線を指します。言い換えると、エネルギーが低くて生体他、物質に影響を及ぼさないものを放射線と言いません。
日本の法律「原子力基本法」の放射線の定義は「電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるもの」(出典:原子力基本法第3条第5号)となっています。
2012年現在政令で定められているものは以下の通りです。
- アルファ線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線、中性子線
- ガンマ線及び特性エックス線(軌道電子捕獲に伴って発生する特性エックス線に限る。)
- 1メガ電子ボルト以上のエネルギ一を有する電子線及びエックス線
(以上同法第4条による)
また、粒子放射線とはその名の通り物質粒子が高い運動エネルギーをもって流れるもの、具体的な粒子は、イオン、電子、中性子、陽子、中間子です。
逆に、高エネルギーの電磁波(ガンマ線、X線のことで電磁放射線)は、放射線に含まれますが粒子ではありませんので電磁波とも呼ばれます。
通常、電離放射線の名で定義され、物質を通過する際に直接、あるいは間接にその物質の原子を電離する能力を持ちます。
加えて、波長の短い電磁波ほど強力なエネルギーを持ちます。
最も強力なガンマ線は、波長が10ピコメートル以下で一部X線と波長領域が被ります(原子の大きさが100ピコメートル程度)。
では、X線(波長は1ピコメートル~10ナノメートル)よりも波長の長い電磁波はどうでしょう。X線より長い波長の電磁波はまず紫外線です、順番に行くとその次が可視光、赤外線、マイクロ波、電波です。この中で紫外線は、人体に悪影響を及ぼすことが分かっています。特に太陽光に多く含まれ地表面に到達するUV-A(波長315~380ナノメートル)とUV-B(280~315ナノメートル)の2種類は皮膚の真皮層に作用し蛋白質を変性させる力があり危険であるとも言えます。加えて、現在はオゾン層で遮られて地表面に到達しませんが、もう少し波長の短いUV-C(波長200~280ナノメートル)は、強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強いものです。フロンガスによりオゾン層が破壊されると、地表に到達する可能性が高くなりますから生物相に著しい影響が出ることが懸念懸念されます。
以下、波長10ナノメートルまでが遠紫外線、極端紫外線とあるのですが、酸素分子や窒素分子に吸収されるため真空中でないと進行しません。
明日に続きます。