期待されている電磁波ーテラヘルツ光
昨日は、紫外線のお話でした。もっとも、ほとんどの女性の方は紫外線が肌に良くないことは実感していらっしゃると思います。私は、野外活動をしませんので日に焼けることはあまりありません、引きこもっている訳ではありませんがゴルフなどもしませんし、紫外線の怖さを実感することはありません。
今日は、また別の電磁波です。その名を「テラヘルツ波」、または「テラヘルツ光」と言います。これは、技術士試験に出る可能性がある言葉ですから平成26年度の試験を目指している方は、覚えておいて下さい。現在すでに、医療分野他で使用されています。
テラヘルツ光は、周波数1テラヘルツを中心に前後、100ギガヘルツ ~ 10テラヘルツまでの周波数領域を持つ光です。波長は、 3ミリメートル~ 30マイクロメートルであり、ラジオ波と赤外線の間にあたる光(電波?)です。要するに光と電波の中間帯の周波数なのです。
テラヘルツ光には、ユニークな特性があります。テラヘルツ光は、種々の合成物質や織物といった様々なアモルファス物質、ボール紙を含む紙類を透過します。一方、多くの生化学分子、タンパク質、爆発物、麻薬物質は、0.1~2 THz 領域に各物質特有の吸収線をもちます。テラヘルツ光のこの重要な二つの特徴により、従来では困難だった材料や物質の分析・分離が可能になっています。また、X 線と異なり、テラヘルツ光は一切のイオン化効果を及ぼさず、原則的に生体にも無害です。
テラヘルツ光は、発生と検出が困難なため、分光学的には興味深い領域でありながらその利用は未開拓でした。しかし、近年、簡便な発生装置が開発されて研究が進んでいます。物質を透過するため、X線に代わって封筒や荷物の中の物を特定する非破壊検査をはじめ、医療、宇宙観測などに利用されています。その中で、最も有効な利用方法は、テラヘルツ時間領域分光法でしょう。電磁波の発生と検出には光伝導アンテナや電気光学結晶を用いることにより、電磁波の位相と振幅を検出することが可能です。と、言いましても、電子工学に詳しい人でないと何のことなのか分からないでしょう。
テラヘルツ光は、イオン化しないサブミリ波放射で導電体には侵入しません。逆に、布、紙、木、プラスチック、陶磁器を透過する特性があります。霧や雲をある程度透過するが金属や水は透過しないのです。大気中でのテラヘルツ波はおもに水蒸気による吸収により減衰が大きく、伝搬距離が限られます。
今後、非破壊検査の世界では注目されていますし、医療の検査でも応用が期待されています。空港の麻薬検査にも使えます。フェムト秒レーザと並んで注目されている新技術ですから論文試験の対策に頭の中へ入れておいた方が得です。