takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

脱稿しました! 『技術士試験:合格者たちの勉強法』

京都の学芸社さんには、「25日には送ります」と約束でした。

本の原稿が完成です。

タイトルは多分

技術士試験:合格者たちの勉強法』か 『技術士二次試験:合格者たちの勉強法』

 

どちらかだと思います。

まあ、本は、出版社に原稿が渡ってから色々変更になることもあります。

前回の『エンジニアの成長戦略』は、原稿を渡してから目次の入れ替えがあって、結構大変でした。今回は、どうなるでしょう。

 

 

技術士試験:合格者たちの勉強法』

 

This is the true joy in life, the being used for a purpose recognized by yourself as a mighty one.

 人生における真の喜びは、偉大だと思える目的のために生きることである。

バーナード・ショー

 (この上は、扉に入れる言葉です、バーナード・ショー良いですよね)

【目   次】

 はじめに

 

 平成31年技術士試験の内容が5年ぶりに変更されることになった。とはいっても、元々技術士試験そのものは産業界からの要請に合わせ、数年(5~6年)毎に試験内容を変更しているので、この変更自体は特別なことではない。むしろその時代に合った技術士の能力を良く考えた上で試験の内容を吟味しているといえる。また日本以外の諸外国においては日本の技術士に相当する資格はあるものの、その難易度は国ごとに異なっている現状がある。近年のグローバル化の波も影響し、今後は技術士も世界標準を目指すことが予想されるであろう。日本における技術士資格は文部科学省が管理しているが、その文部科学省が発表した資料にはこんな一文があるので、少し長いがご紹介したい。

 

 

2014 年 9 月

国際委員会 IEA 対応 WG

 

技術士に求められる資質能力」(以下、「技術士 PC」という。)は、2014 年 3 月に、文科省技術士分科会により表 1 に示すとおり制定された。その基本的な考え方は以下のとおりである。

 

(1) 技術士 PC は、技術士試験並びに APEC エンジニア及び IPEA 国際エンジニアの国際資格登録のための審査基準、並びに技術士の継続研鑚の達成基準として用いられる。

(2) 技術士 PC は、IEA の「専門職としての知識・能力(エンジニア)」(以下、「IEA PC」という。)に整合する(表 2 参照)とともに、日本における技術士試験並びに APEC エンジニア及び IPEA 国際エンジニア資格審査の実状に適応する編成と記述内容とされている。

(3) 技術士 PC は、上記(2)に適うように、その項目は、知識、問題解決、スキル(問題解決以外)、行動原則(倫理)の類別順に整序し編成されている。

文部科学省ホームページより引用)

 

 

 これによると、技術士に必要な資質能力とはAPEC エンジニア及び IPEA 国際エンジニアの能力と合わせるというものである。ただし実際の合格率や試験内容はかなり異なることから、どこまで揃えるつもりなのかは不明である。

 今後、技術士試験で試される能力も国際化の波に揉まれることが予想される中、海外の資格と足並みを揃えるようになる可能性は多いにあり得ると筆者は考えている。さらに5~6年後は部門全体の見直しなども考えられている様子から、これから技術士受験を目指す人は時々文部科学省の「技術士分科会の」ページを見て最新動向を確認してほしい。

 

今回、本書は平成31年度の技術士試験の内容に対応して執筆したが、試験問題の予想を掲載している訳ではない(ただし想定問題は用意している)。皆さんもご存知の通り、試験内容が事前に漏れるようなことはないため、「試験問題はこんな問題になる」などといった本が出ることはない。また大手の技術士試験対策講座においても、午前中の必須論文問題には対応できていないのが現状である。

そこでどうするか。本書では現在公開されている情報を元に、筆者が試験内容を推測し作成を試みた。技術士試験とはその内容は変われども、骨子となっている「新たな問題に対する応用能力」と「課題解決能力」を試す試験である。つまり、それらの能力を鍛えることで、試験には十分合格できるのである。

 

 繰り返しにはなるが、本書は「技術士試験に受かるための対策本」である。当時、企画を持ち込んだ学芸社の担当である井口さんは二つ返事で了解してくれた。

我々の共通した思いは一つ、「受験者に役立つ本を作る」という信念である。学芸社ではすでに「合格者たちの勉強法:一級建築士受験-教育的ウラ指導」という本が出版されているため、本書はその本の“姉妹本”という位置づけで、というありがたいお話を頂いた。そのような経緯で、本書のタイトルは自動的に決まっている。

 筆者も書くからには、技術士試験の神髄を凝縮した、今までにない本にしたいと考えている。まず従来97つあった選択科目が、31年度の試験から69科目に統合されたことから、試験の内容は大幅に変わることが予想される。択一試験がなくなるからである。

元々、技術士試験は暗記に頼る要素の少ない試験ではあるが、さらに択一試験がなくなることで、今後は暗記で乗り切ることができなくなってくる(総合技術監理は別)。

 現段階での31年度の試験内容の筆者の予想としては、平成19年~24年時と似た形式の内容になるのではと考えているため、その証拠も示していきたい。

 本書では、試験に受かる実力をつけるための例題や過去問題の解答例も用意し、暗記で乗り切ることができない対策をいかに自学で行うかに注力し、その思考方法をどのように鍛え、「A」評価を取るのかについて徹底的に解説している。

 

 また、筆者は対策講座の現役講師として受講者の解答を日常的によく見ているため、試験で陥りがちな盲点についても熟知しているつもりである。講座の中でも時々見受けられる、問題文の趣旨を無視した解答については当然ながら「B」評価にもならず「C」である。しかし、元々技術には唯一絶対の正解はない。実は、技術士試験では技術的方法論で合否を決められることはほとんどないのである。稀に「いくらなんでもそれはないだろう」と言いたくなる解決方法を書く人もいるが、それ以外はあまり重視されない。むしろ重要なのは、解答の論理的整合性や、読みやすくわかりやすい書き方ができるかにかかっている。

 つまり技術士試験では、論理的であり、わかりやすい文章であるかどうかが評価の対象となる。さらに長文問題も出題されるため、文章の読解能力の有無も試される。もちろん日々対策を取っている人であれば、普段なら問題をしっかり読み理解できると思われるが、本番の試験には焦りやストレスといった魔物もいる。時間の制限がある中、緊張感も手伝いとんでもない勘違いをしてしまうことも大いにあり得る。そこで、本書ではそうした場合の対処方法についても説明しているので、じっくり読んで頂ければ技術士試験に受かる実力は十分に養える。

 最後に、もう一度誤解のないように言わせて頂きたいのは、「この本があれば確実に合格できる」いうことではないため、合格を勝ち取りたいのであれば、あくまでも努力が最重要であることである。ただし試験対策の方法や正しい努力の仕方については本書で伝えるべきだと考えている。また試験内容も数年毎に変化し、その都度時代のニーズに合わせて求められる能力も変わるため、その時は本書も改訂していくつもりである。量版の度ごとに訂正を加えていくことは西洋の学者たちにとっては常識である一方、日本ではあまり実行されていないが、自ら書いた本には最後まで責任を持ちたいし、それが筆者の使命でもある。

筆者がこの5年間で300名以上の受講志望者にアドバイスを行ってきた一つの集大成にもなっている拙著が、多くの技術士試験突破を願う人の手に取って頂けることを願う。