takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

200年前に誕生した化物の物語~『フランケンシュタイン』生誕200年~

最初のSF小説

 

小説のジャンル分けは難しいと思いますが、今から200年前1818年に世界初のSF小説が生まれました。
フランケンシュタイン』は、イギリスの小説家、メアリー・シェリーが1818年3月11日に匿名で出版した当時のゴシック小説です。原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』。

先ずはゴシック小説から説明しましょう。


ゴシック小説は、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説のことです。主に英国がその産地でした。
今はあまり読まれない小説家たちですが、

東洋趣味的なウィリアム・トマス・ベックフォード『ヴァテック』(1786年)、『森のロマンス』(1792年)
アン・ラドクリフ『ユードルフォの秘密』(1794年)
マシュー・グレゴリー・ルイス『マンク』(1795年)、『イタリアの惨劇』(1797年)
チャールズ・ロバート・マチューリン『放浪者メルモス』(1820年
ジェイムズ・ホッグ 『悪の誘惑』 (1824)
などがあります。

私はこのジャンルの本を昔(40年近く前)、好きで読んでいたことがあります。
シャーロック・ホームズは小学生から読んでいましたが、その後です。
日本の横溝正史江戸川乱歩も少し読みましたが、海外の小説の方が良かったと思います。

ちなみに、

ガストン・ルルーオペラ座の怪人』(1911年)
ブラム・ストーカー『ドラキュラ』
ナサニエルホーソン『緋文字』

などもゴシック小説の系譜と言って良いと思います。

特に『緋文字』はアメリカ文学ですが名作です。

 

フランケンシュタイン』はどんな物語?


フランケンシュタイン』は発表当時やはりゴシック小説として分類されました。

しかし、現代では科学者の倫理を扱った最初のSF小説と言う評価が定着しています。
私もそう思います。

天才的な科学者ヴイクター・フランケンシュタインは科学の粋を集め人造人間の製造に成功します。(現代の科学技術の知識がある人なら笑ってしまいますが、大雑把に言うと死体に電気をながいして生命を与えるというものです)
また、誤解が多いのですが、「フランケンシュタイン」は化物を作った科学者の名前であり、化物には名前がありません。おそらく名前が無いから化物を「フランケンシュタイン」だと思っている人が多いのでしょう。

誕生した人工生命体は見るにたえない醜い怪物でした。
ヴイクター・フランケンシュタイン自分で作っておきながら、そのおぞましさに耐えられず化物をおいて逃げ出します。 
一人うち捨てられた怪物は、はじめは善良な存在でした。ゲーテやミルトンを愛読し、人間の高貴さや愚かさについても深く考え続けていました。
しかし、いわれない迫害を受け人類への復讐を決意。ヴィクターを取り巻く人々の殺人を開始するという物語です。

これは、現代でも残忍な犯罪を犯した人に良く言われる話ではありませんか?

そもそも、本当の化物はどちらだったのかと考えるととても面白いしまた、重要なことを考えさせられる小説です。(おそらくマッドサイエンティストの元祖はヴィクター・フランケンシュタインです。)

最近ほとんど小説を読まなくなった私ですが、今週は『フランケンシュタイン』を読み返してみようと思います。

本は

新潮文庫:芹澤恵訳(2014年)

光文社文庫:小林章夫訳(2010年)

の両方を持っていますが、小林章夫訳で読みます。

また、『フランケンシュタイン』の脱稿は1817年です、ですから脱稿で考えれば昨年が生誕200年です。しかし、通常本は出版された年で考えますから1818年出版なので今年を生誕200年としました。