takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

資格取得は、ゴールなのかスタートなのか

資格を取得するのはスタートである、これは、間違いない。最難関の資格である、弁護士や公認会計士を取得したって、取って終わりではない。そこから、その資格を使って新しい業務を始めるのだ。しかし、業務独占ではない「技術士」のような資格の場合は、業務そのものも何にも変化しない。昨日まで行ってきた業務は、「技術士」でなくてもできる業務であり、技術士になったからと言って業務の範囲が広がるわけではない。

取得する上で遙かに簡単な、甲種危険物取扱者は、その免許がなければ消防法で指定されている危険物を取り扱うことができない。また、2日間の講習を受講するだけで取得できる、防火管理者は、一定以上の規模の建物・施設には必ず必要とされ管理者がいなければ違法となる。

一方、「技術士」がいなくて違法扱いされることはないと言って良いだろう。建築・土木の関係だけは組織に「技術士」がいることでメリットがあるのだが、他の部門ではゼロではないが、ゼロに近いはずだ。これは、IT関係の難関資格である、ITストラテジストやシステム監査技術者等にも言えると思う。

では、なぜ「技術士」を目指すのか。昭和33年(1958年)から始まった技術士試験には、延べ83.5万人が申込みをして、約55万人が受験しおよそ10万人が合格している。合格者には、2重、3重の人もあり、また、54年間に亡くなっている方もあるから、現在、もの作りの現場で活躍されている技術士は5~6万人程度である。私も含めて、「技術士」を取得した動機はなにか。

少し、個人的な話しをしよう。私の場合は、会社とは何の関係もない。技術士を取得した現在も会社の名刺には「技術士」と書かれていない。もちろん、登録する時に会社の承認が必要だったから、経営者には取得したことを話してあるが「ふ~ん」程度の反応しかなかった。なぜか?そもそも社長以下、私の会社の経営陣は「技術士」という言葉すら知らないからである。当然、資格手当などない。そのため、自分で「匠 習作」の名刺を作り「技術士」と入れて機械学会や技術士会の講習などでは、そちらを使用している。平日に行く場合は、勿論、有給休暇である。もっとも、それ以外ではあまり使用しない。そもそも、「技術士」は、一般の人に知られていない。技能検定の1級技能士を一緒にされてしまう事も多い(それも、持っているけど)。技術と関係のない分野で活動している人に技術士の説明をするのは大変なのだ。

しかし、それでも「技術士」になりたかったし、なって良かったと思っている。プロのエンジニアとして認定され、それを常に意識し自覚できるからである。そして、その自覚は、技術者としての倫理につながる。その事は、これから折に触れて書くと思う。