takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

書評

シャーロキアンのシャーロックホームズ:第11回『緋色の研究』

『緋色の研究』(コナン・ドイル著、延原謙訳 新潮社)は、シャーロックホームズ物語の第一作です。 この物語の好きなところは、いくつかありますが、「タイトルの秀逸さ」を一番にあげます。(原題は『A Study in Scarlet』シャーロック・ホームズクラブの…

シャーロキアンのシャーロックホームズ:第4段『緑柱石の宝冠』

私は、角川文庫版『エメラルドの宝冠』にて、この作品を読みましたが、他出版社のタイトル訳では、聞き慣れない石の名前・緑柱石が登場します。 その石は、「エメラルドのことです。緑色の濃さでいえば、エメラルドはふかい緑色、緑柱石は少し淡い、のちがい…

『あなたの体は9割が細菌』って本当ですか?

売れているみたいです。 内容は専門的ですが、文章は平易です。 河出書房新社のサイトには、著者アランナ コリンの紹介があります。 インペリアル・カレッジ・ロンドンで学士号と修士号を取得し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協…

宇宙大作戦≒スタートレック

前回、書いた通り『スターウォーズ』は大好きな作品ですし、名作です。 まさにスペースオペラ、日本の『宇宙戦艦ヤマト』とは全く異なります。 話はそれますが、『ヤマト』の劇場版をざっと見て下さい。 劇場アニメ映画 『宇宙戦艦ヤマト』1977年8月6日公開…

スターウォーズは大好きなんだけど

告知 3月20日(日曜)池袋のアットビジネスセンターの貸し会議室で「平成28年度技術士二次試験申込み書の書き方」講座を開催します。12名限定の講座です。定員になり次第締めきります。 開催時間:10時~16時 部門はといません。 受講料は15,000円です。 当…

『読書』という体験

昨年暮れから今年にかけて、2冊の本を取り上げてここで書きました。 『プルーストとイカ』、『意識をめぐる冒険』です。 私は、本を読むのは割と早い方です。普通の新書なら2時間くらいでしょう。40歳を過ぎてから、小説はほとんど読まなくなりましたが、夏…

『プルーストとイカ』

今年の正月は、ほんとに良い天気に恵まれました。 と言って、別にどこへも出かけなかった私ですが、近所のスーパー銭湯にはぶらりと行きました(2日の土曜日)。後は、年賀状を投函するために、少し遠回りして散歩をしたぐらいです。 さて、早く読めなかった…

意識をめぐる冒険

この本は、343頁全10章で構成されています。 そのうち、1・2章は子供の頃からの自分の生い立ちやフランシス クリックとの出会い等自伝的な話になっています。クリストフ コッホが30年前に「意識」の研究を始めるころは、「意識」の研究なんてキワモノ扱いの…

先ずは、『意識をめぐる冒険』から

著者のクリストフ コッホについて、Wikipediaから紹介します。(一部略) 1956年、アメリカに赴任中のドイツ人外交官の息子として、ミズーリ州カンザス・シティで生まれる。その後、外交官である父親の転勤に連れられる形で様々な国を移動。オランダのアムス…

寺沢俊哉さんの新著紹介『人材育成』:中央経済社

何かとお世話になっている、日本生産性本部 主席コンサルタントの「Drテラ」こと寺沢俊哉さんの新刊が出ました。 昨日帰宅したら、自宅に届いてました、ありがとうございます。 以下、は号外メールからのコピーです。 とても読みやすい本ですが、人材育成の…

医療機器は、人体に与える影響度によってクラス分けされています

例えば、X線フィルムは医療機器です。しかし、人の体に直接影響を与えることはないでしょう。また、体温計はどうでしょう。計測誤差が大きく、高熱があるのに測ると平熱だった場合、判断を間違えることはあるかもしれません。とは、言えそれは自分でわかる…

今年読んだ本の傑作『亡びゆく言語を話す最後の人々』(この本は良い)-2

現在世界に存在する言語の数は千数百とも数千とも言われています。1939年にアメリカのL.H.グレイは2796言語と言う説を発表しました。続いて、ドイツのマイヤーが1979年に4200から5600言語と発表しています。さらに、三省堂の言語学大辞典・世界言語編では8…

今年読んだ本の傑作『亡びゆく言語を話す最後の人々』(この本は良い)

突然ですが本の紹介です。2回に分けて簡単に紹介します。ぜひ、読んで下さい。 昨年(2013年)の4月2日に発行された本、『亡びゆく言語を話す最後の人々』:K.デイヴィット ハリソン著・川島満重子訳-原書房刊を読みました。私が今年読んだ本の中では最高…

生きているもの(生物)-『生命進化8つの謎』を通じて

変なタイトルです、「生き物」ではなく「生きているもの」としました。 私は物質の塊です。多分、これを読むあなたもそうだと思います。ただ、「あなたは物質の塊だ」と言うと気を悪くする人もいますから、人には言いません。これから、しばらくこの変なタイ…

倫理問題を考えよう:トリアージ問題

「トリアージ?」何だそれ、と言うのが普通の人の感覚でしょう。少し無理矢理日本語に直すと、「識別治療」が近いと思います。要するに、一度に大勢の患者が病院に搬送されその処理能力を超えた場合、見た目で軽傷の人は放っておく、重傷の人を優先して治療…

少し功利的に寄り道-2

自慢ではありませんが、このブログは1日700~900件程度のアクセスを誇る弱小ブログです。他の方から引用されることは滅多にありません。しかし、今回は2日続けて紹介していただきました。今度は名古屋のブロガー、やまあきさんがそのブログ「 功利主義に自己…

少し功利的に寄り道

はてなブログのブロガーfktackさんがご自身のブログ 功利主義は自殺を肯定するか - 意味をあたえる 功利主義は自殺を肯定するか - 意味をあたえるの中でこのブログの記事「トロッコ問題」について言及して下さいました。そこで、トリアージ問題に入る前にも…

倫理問題を考えよう:カンビュセスの籤-3

この物語の主人公エステルは、種としての人類を存続させることは個人の命よりも大切なことだと信じています。ですから、くじ引きで負けた人間を食料にする、その食料を食べて生き続けることに疑問を感じていないようです。 食料を大切にするシーンはあります…

倫理問題を考えよう:カンビュセスの籤-2

この物語の問題を要約すると、人を食べてでも生き続ける意味はあるのか?と言うことです。籤を引いて1人を選んで特殊な機械に入れて人間を食料にする。残った人間はそれを食べて栄養を蓄え、冬眠に備える。その冬眠は1万年に及び、地球外知的生命の助けを求…

倫理問題を考えよう:カンビュセスの籤

技術士対策講座、初日からお申し込みを頂きました。 本当に感謝いたします、今年、必ず合格しましょう。 さて、少し間が空きましたが倫理問題に戻ります。 『カンビュセスの籤』(カンビュセスのくじ)は、藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄名義)さんが…

倫理問題を考えよう:冷たい方程式-3

冷たい方程式には、もう一つ問題があります。 大抵のパイロットは、1~2回密航者と遭遇すると言うほど密航されやすいなら、飛び立つ前にもう少ししっかりチェックしろと言うことです。この話の中でも、密航者は温度センサーで簡単に見つかっています。だった…

倫理問題を考えよう:冷たい方程式-2

この小説の問題も安全設計の方へ話を持って行くとややこしくなります。そもそも、小惑星を人間が調査するような時代であれば、薬を届けるような業務は無人探査機が行うはずです。人間を乗せるのはお金が掛かるからです。地球の大気圏を飛ぶ飛行機だって近い…

倫理問題を考えよう:冷たい方程式

『冷たい方程式』は、トム ゴドウィンによって1954年に「アスタウンディング・サイエンスフィクション」に発表された短編SF小説です。SF小説史上もっとも注目に値する作品のひとつと評価する人もいます。 しかし、小説としてはそれほどのものとは思えません…

倫理問題を考えよう:トロッコ問題-3

トロッコ問題は、今日で終わりにします。 これまでの選択肢は、色々ありました。これを一貫した理屈で説明することはできるでしょうか。例えば、「私は人の命に干渉しない」、だから何もしない。とか、「私は功利主義者だから、常に数の少ない方を犠牲にする…

倫理問題を考えよう:トロッコ問題-2

この問題も、派生問題が色々あります。少し条件を変えて見方がどう変わるかを見るためです。本質的には同じこと、言い換えると5人を守るために1人を犠牲にするのは良いか悪いかを考えるのですが、昨日の話のように全く逆の結果になるのはなぜでしょう。5人を…

倫理問題を考えよう:トロッコ問題

有名な『これから「正義」の話をしよう』:マイケル サンデル著・鬼澤忍訳・早川書房の33ページに取り上げられている倫理問題です。不勉強な私は、2010年6月27日にこの本を読むまでこの問題を知りませんでした。恥ずかしい限りです。 トロッコ問題とは、「あ…

倫理問題:臓器くじ-2

昨日の説明は簡単でしたが、意味はお分かり頂けたかと思います。要するに、くじ引きで死ぬのは50歳以上、加えて若い人で移植を必要とする人が優先的に助けられるというものです。体の大きさが異なりますから無理は分っているのですが、何か特殊な方法で小さ…

倫理問題を考えよう:臓器くじ問題

臓器くじ問題は、様々なところで議論されているのですが、「Wikipedia」に上手く纏められていましたので、先ずそれをご覧下さい。 以下は、「Wikipedia」から文章は語尾を変更し、一部略しています。 臓器くじ問題は、倫理学者のジョン ハリスが提案した思考…

倫理問題を考えよう

悪い癖ですが、途中でテーマを変更します。 哲学の話も止めるわけではありません。技術士試験にも役立つし、何より私自身とても興味のある問題なので書いてみたいと思っています。書くことで考えることができるからです。 さて、その技術者倫理ですが、倫理…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-9

今回は、プラグマティズムです。「pragmatism」は英語ですが、「pragmatisch」 というドイツ語に由来します。実用主義、実際主義、とも訳されることのある考え方ですが、元々は、経験不可能な事柄の真理を考えることはできないという点でイギリス経験論を引…