takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

『永久機関』という永遠の夢あるいは、永遠の嘘ー2

しつこいですが、誤解がないように書いておきます。

私は、永久機関を創れるとは思っていません。熱力学の第0~第3までの法則は、絶対です。これに間違いはありません。ですから、この法則に逆らう永久機関を創ることはできません。

ただ、科学技術の歴史マニア(オタク)として、見逃せないカテゴリーが永久機関です。そのため、自らの趣向に基づき永久機関のことは調べています。

永久機関の発明と言われるものを古いものから調べて行くと、現代の発明と100年以上前の発明が全く同じ動作原理で考案されていることに気が付きます。全てがそうだという訳ではありませんが、考え方が同じものが多いのです。

言い換える、永久機関の失敗記録は共有されていないと言うことです。

これは、科学技術の世界ではとても珍しいことです。科学技術は、つねに先人の成し得た業績の上に新たな、業績を積み上げます。ですから、その失敗も本来は共有して、同じ轍を踏まないように試行錯誤を積み重ねます。

もっとも、以前書いたように、「STAP細胞」の騒ぎは100年前の「n線騒動」と同じでした。しかし、あれなマスコミや社会が同じ騒ぎを起こしただけです。まあ、渦中の女性研究者は、n線のことを知らなかったかもしれません。

話を戻しましょう。

おそらく、永久機関が実現できると思って頭を捻っている人たちは、同じ知識が不足しているのではないかと思います。また、そのために同じ落とし穴に落ちているのではないかと思います。遅くなりましたが、実は本の原稿を書き終えたので、これから数回に分けて、少し詳しくご説明いたします。

先ず、重要なこと、永久機関と呼ばれるものは、2種類のタイプがあり、これは全く別物です。それぞれ、紹介しましょう。(註:図はウィキペディアからのコピーです)

第一種:永久機関

第一種の永久機関は、一度機関を始動させれば外部から何らエネルギーを補給しなくても永久に運動を続ける機械や装置です。機械自身が永久にエネルギーを作り出し、動き続けます。通常、永久機関といえば第一種の機関を言います。

しかし、この第一種永久機関は、熱力学の第一法則(エネルギー保存の法則)を完全に無視しています。

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上の図は、有名な第一種永久機関ですが、絶対に動きません。

上は1700年ごろ、下は1200年ごろのものです。

こんなもの、作ればすぐに動かないことが分かるのですが、これの変形判(車輪とおもりを使ったもの)は無数にあります。

 

第二種:永久機関

第一種の永久機関と同様に永久運動を続けうる仮想的機械です。しかし、こちらは機械自身がエネルギーを作るのではありません。例えば大気や海水の持つ無限の熱を取り入れて機械的仕事に変えるものす。そのため、第一種の永久機関のようにエネルギー保存の法則には逆らいません。
それなら動くのか?と言うとそうではありません。熱力学第二法則によれば、熱機関に仕事をさせるためには必ず高熱源と低熱源が必要です。第二種永久機関にはそれがないのです。

もっと簡単に大雑把な説明で言うと、変換効率100%の機関は作れないため、第二種永久機関であっても作ることはできません。

 

取りあえず、この二つを覚えて下さい。