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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

福島原発事故-15

福島原発事故 自然災害

 3号機は、全電源喪失後直ちに炉心冷却設備RCICが起動し、約20時間運転した後に自動停止しました。その後まもなくHPCIが自動的に立ち上がり、3月13日午前2時42分まで炉心の冷却は継続できていました。しかし、マニュアルにはない高圧注水設備HPCIの長時間の運転に不安を抱いた運転員は、HPCIを遠隔操作で停止しました。それは、SR弁を開き原子炉を減圧して、消火系からの長時間の冷却を企図したものでした。しかし、SR弁はバッテリー電力の枯渇から開くことができなかったのです。そのため圧力容器圧力は上昇し続け、消火系からの注水はますますできなくなりました。

 

 前にも書きましたが、消火器系のポンプは10気圧までしか押せません、容器内の圧力がそれより高場合は水を入れられないのです。そのため、炉心損傷が進行し、13日9時頃までには圧力容器が大きく損傷を起こしました。9時10分頃には、炉心のメルトダウンや圧力容器のメルトスルー(圧力容器の底が抜け、溶融した燃料が格納容器にまで落下すること)が発生していた可能性も否定できません。その後、原子炉は減圧に成功し消防車による注水も始まったのですが、格納容器の減圧(ベント)は不安定な状態が続いたようです。そして、翌14日11時01分に3号機は水素爆発を起こした。また、3号機からベントされた気体が、4号機原子炉建屋に逆流し、4号機水素爆発の原因ともなりました。

 

 水素爆発は多くの負傷者を出しました。また、せっかく準備された事故への対応策にダメージを与え、作業を大幅に遅延させるなど、その後の事故を深刻化させる大きな原因の一つとなったのです。

 

註1:何度も出てくるベント弁(vent valve)ですが、要するに減圧するための逃がし弁です。

 

註2:電源の喪失に関する誤解の1つに「地震で常用の外部電源を失い、さらに津波で非常用発電機が水没し、その結果全交流電源を喪失した」と言うものがあります。確かにその通りなのですが、これは致命傷ではありません。致命的な問題は、非常用ディーゼル発電機本体の機能喪失にではなく、配電盤のほぼすべてが浸水し故障したことにあったのです。配電盤が機能を喪失したため、外部からの電源も供給することができなくなりました。