takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

服装というもの

So may the outward shows be least themselves: The world is still deceived with
ornament.

時として外見は実体とはおよそかけ離れているもの。
世間はいつでも上面の飾りに欺かれる。
ベニスの商人」第3幕2場

シェイクスピアの台詞です。

この場面は、別にお洒落の話でもありませんし、着るものの選び方を説いている訳ではありません。唐突でしたが、私の好きな場面でしたので引用しました。

 

靴のことから初めて、ネクタイやワイシャツまで、ここに色々書きこみました。

最後はやはりスーツのことを書かなければならないでしょう。ですが、せっかくですから着るものに関する考え方もアップしておきたいと思います。

私も30代半ばまでは、着るものに関して無頓着でした。仕事上、スーツはある程度必要でしたが、毎日着ることはありませんでした(今は、ほぼ毎日着ています)。

ですから、1年に2着、ボーナスの時に1着づつ購入すれば良かったのです。

靴も基本的にラバー底のものでした。また、面倒なので紐靴は履きませんでした。しかし、ある時、自分の全身が写っている写真を見て「なんだこのみすぼらしい恰好は?」と思ったのです。40歳になる直前くらいだったと思います。

すでに若くはありません。若い時は、ジーパンにTシャツでもそれなりに見えるのですが、年を取るとそうは行きません。

愕然として考え方を改めました。

とは言え、それまで服装のことなど考えたことがありません。お洒落について考えてもセンスがありませんから、どんなものをどのような場所で着れば良いのか分かりません。少し困りました。

また、それまでは、スーツも「紳士服の〇〇」のようなお店で購入していました。当時、そのような店では、客の話を少し聞いてサイズを合わせて売るだけでした(今は、知りません)。

そこで、百貨店の紳士服売り場に行きました。今でも覚えていますが、紳士服売り場を適当に見まわし、一番格好良く見えるマネキンのスーツをセットで購入しました。店員さんに「これ、そっくり全部下さい」と言ったのです。

つまり、スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、ベルトのワンセットです。10万ぐらいだったと思います。メーカーは、オンワード樫山の「五大陸」でした。

私は、池袋発東武東上線の住民なので、池袋の東武百貨店5階紳士服売り場の『五大陸』です。

この時の店員さんが、実に良い人で私の注文に驚きながらも、サイズを揃えてくれて、さらに色々と教えてくれました。すっかり気に入った私は、その後5~6年の間スーツは全てその店で「五大陸」ブランドを購入しました。正直の話、英国スーツとイタリアスーツの違いなどもその頃知ったのです。

また、それまでワイシャツは常に真っ白のものばかり着ていましたが、日本人には、薄めのブルーの方が合うと言うことも教わって知りました。日本人にはと言うより、黄色人種にはと言った方でが良いでしょう。今では、ほとんどのワイシャツが薄いブルーです。

繰り返しますが、私は、自分の服装センスを信用していません。ですから、クラシックスタイルに決めています。これなら、ルールがあるからそれを守ればよいのです。また、長い間に、広く世の中に馴染んでいます。奇異に見られることもありません。

そもそも、私にとってお洒落とは何かと言うと、周りの人に不快な思いをさせない、逢った人に失礼にならない恰好です。そう思っています。ファッション誌に出てくる恰好がお洒落ではありません。もちろん、そんな恰好が板についている人はそれで良いのです。

私は、そうではありませんから、伝統的な恰好をするだけです。