薬事法改正、長い名前が覚えられない
「薬事法」は今回の改正により、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」というとても長い名前の法律になりました。落語の「寿限無寿限無」のようです。「等」と言う字が2回出てくるのがポイントです(太字)。
今回の改正は、医療機器メーカからの要望を受け入れ、「医薬品」と「医療機器」を分けて規制するというところに力点があります。
昭和35年(1960年)の薬事法改正で始めて「医療用具」が法律で規制されることになったのですが、当時の医療用具とは、「聴診器」「注射器」「体温計」「メス」「ナイフ」「ハサミ」など、まさに「用具」でした。しかし、医療工学や電子工学、メカトロニクスの発達により、現在は「心電計」「呼吸補助機」「CT」「MRI」と言った「用具」とは言えない高度な機器類が開発され多くの病院で使用されるようになりました。55年間の進歩は凄まじいものです。
また、基本的に体内に取り込んだら終わりの医薬品と異なり、医療機器は長期に渡って多くの患者に使用される場合が多く、保守管理や修理といったメンテナンスも発生します。もちろん、使い捨ての医療機器も多くありますが、高度で高価な機器類は使い捨てと言うわけにはいきません。
さらに、現在では高価な医療機器に対してレンタル業も行われており、「医療用具」とは呼べない「医療機器」の流通、取り扱いは複雑になっています。
加えて、最近の高度な医療機器は、コンピュータソフトを使用したものも多く、発売されてからバグが見つかったり、1年足らずでバージョンアップされたり、と旧来の薬事法では規制することが難しくなってきました。そこで、今回の改正では、独立した章として「第5章、医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業等」というこれもまた、長い章が設けられました。
一方、安倍内閣は21世紀の成長産業として「医療」を上げています。その「医療」の中の一部である医療機器業界を大きく育て、国際競争力を持たせるために、承認許可の迅速化、合理化をすすめ開発の速度を上げようという意図に沿った改正でもありました。
ちなみに、現在の医薬品と医療機器では、市場規模が大きく異なります。医薬品は、医療機器の3~4倍の市場規模があります。逆に伸びる要素もありますので、医療機器メーカは今回の改正を注目していました。
続きます。