クラス分けされた医療機器は許可する人が異なります
どんなに素晴らしい医療機器を開発しても「はい、どうぞ」とすぐに売り出すことはできません。そもそも、作った側は、「必ず良い物ができた」と思いたがるものです。ですから、高度な医療機器であればあるほど、売り出すまでの時間は掛かります。
それでは、製品にどんな規制が掛けられているのでしょう。国民の命と健康を守るため悪徳業者と戦う厚生労働省の職員達は、薬事法改め「医薬品及び医療機器等法」に基づき「届出」「認証」「承認」と言う以下のような製品の安全性や有効性のチェックを行っています。
1)一般医療機器:クラスⅠ
メス、ピンセット等 : 届出 許可するのは医薬品医療機器総合機構(PMDA)
届出と言うのはその名の通り、届ければOKです。これまでは、一般医療器と言えども認証が必要でした。要するに後で問題が発覚しても人体に害を与えない製品だけです。
2)管理医療機器:クラスⅡ
筋電計、歯科用ハンドピース、X線診断装置等:種類によって認証申請、もしくは承認申請
認証申請を許可するのは:第三者認証機関
承認申請を許可するのは:厚生労働大臣
3)高度管理医療機器:クラスⅢ
ペースメーカー、心臓弁等:種類によって認証申請、もしくは承認申請
認証申請を許可するのは:第三者認証機関
承認申請を許可するのは:厚生労働大臣
役所が決めた使い方ですが、大臣がOKを出すのは承認、下の機関がOKを出すのは認証です。
世界的に見ると、早くなったとは言え日本の承認・認証にかかる時間は長いのです。大雑把に言って、世界標準の2~3倍、海外では市場で売られている製品の3割強は、日本では売られていません。ただし、この原因は厚生労働省の責任ばかりではありません。申請期間の70%は、申請者が消費しています。これは、単純に準備不足であったり、知識不足だったり、審査官とのコミュニケーション不足だったりと色々な理由があります。
また、これには購入者にも問題があります。何かあると、何でも国のせいメーカのせい、と言い出す人も多いのです。日本人の嫌いな言葉「自己責任」とは、良く言ったものです。