福島原発事故-3
高波、高潮、津波この3つの自然現象は、時々間違われることがありますが、全く異なる現象です。
- 高波:波浪とも言います。強い風によって引き起こされる水面の上下運動です。また、船舶などが航行することによって後方につくる波は引き波と呼ばれ、そうして波をつくりだすことは「造波(ぞうは)」と言います。
- 高潮:台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に生じる海面の高まりです。海は、大気の重さつまり気圧(大気圧)によって常に押されています。一般的には、気圧が1hPa下がる毎に海面は約1cm上昇します。例えば台風など熱帯性低気圧の下で気圧980hPaの場合、通常より33hPa低いので約30から33cm程度の海面上昇が見られるます。そのため、これが、満潮・高波と重なると大きな被害になることもあります(例:伊勢湾台風)。
- 津波:主に海底地震や海底火山の爆発などによる、海底地形の急変により生じる大規模な波の伝播です。極めて大量の海水が塊となって移動する現象と考えても良いでしょう。
津波は、海外でも「Tsunami」で通用する日本語のひとつです。現在、日本やアメリカ、中国、オーストラリア、チリ、ロシア、韓国など26の国と地域が加盟しており、沿岸各国で地震や津波が発生した場合、データがハワイにあるアメリカ国立海洋大気局の太平洋津波警報センター (Pacific Tsunami Warning Center, PTWC)に集められ、各国に津波の規模、到達推定時刻などの警報を発する仕組みがあります。
東北太平洋沖地震は、平成23年(2011年)3月11日金曜日の14時46分18.1秒に発生しています。この時、まだ揺れが続く中、気象庁はマグニチュード7.9という推定に基づき、14時49分(わずか、3分後)、岩手県、宮城県、福島県の沿岸に津波警報(大津波)、その他の全国の太平洋沿岸などに津波警報・津波注意報を発表しています。ただし、マギニチュードの推定に間違いがあったため、予想される津波の高さについて、宮城県で6メートル、岩手県と福島県で3メートルと過小に発表してしまいました。しかし、その後間もなく、岩手県や宮城県の沿岸部に設置された、GPS波浪計のデータなどから10メートル以上の高さの津波が予測され警報は3回修正されています。最終的には、15時30分、岩手県から千葉県九十九里・外房までの予想高さが10メートル以上になりましたが、すでにその時間帯には三陸沿岸に津波が襲来していました。日本が誇る最新鋭の警報システムも、この震災の前では効果を発揮できずにいたのです。