takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

平成30年度技術士試験の行方

技術士Ⅱ次試験の内容が平成30年度から変更になるはずでした。

しかし、その雲行きは怪しいようです。

今、文部科学省はそれどころではありません。

元々、変更するとは言ってましたが何時からとは明言していないのです。

日本技術士会では、早くも「来年は同じになるのでは?」と予想しているようです。可笑しな話ですが、試験制度は技術士会が決めるのではありません。

決めるのは文部科学省の技術士試験部会です。

 

択一試験が無くなって、その代わり午前中から論文試験が課せられる。

ようするに平成19年から24年までの時と同じになるわけです。

しかし、以前と異なり問題の構成はどの部門も同じになるでしょう。

19年~24年までのときは部門や選択科目毎にバラバラでした。

全く統一感のない試験だったのです。

これからもし、変更するとしてもそこは修正されるでしょう。

午前中の必須論文も2問出題で1問解答。

午後は、これまでの試験と同じでしょうか?

そこは分かりません。

 

ですが、これから技術士を目指す皆さんにぜひ知っておいて頂きたいことがあります。

技術士に求められている本質的なところは変わりません。

せいぜい、国際標準化に合わせて、APECエンジニア、IPEA国際エンジニアに代表される国際的な技術者資格認定制度との同等性を確保する方向になるていどです。

これは、平成25年からの試験でも見られる傾向です。

おそらく少し強化されるていどでしょう。

 

実は6月1日に技術士制度改革の中間報告がありました。

その報告書の最後に以下のような文言があります。

 

我が国の企業部門の研究者数は平成 26 年時点で約 49 万人であり、中国は約倍の 95 万人、韓国は実数では 35 万人とやや少ないが、企業部門の研究者数について日 本が横ばいであるのに対し、中国、韓国ともに近年極めて大きな伸びを見せている (文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術指標 2016」より)。

企業部門に おける研究者と技術士の関係は明確ではないが、中国、韓国等の動向を踏まえれば、 我が国における技術系人材(理工系人材)の育成は益々重要になっており、技術士 制度の活性化、発展も一層重要性を増している。

当会の設立については、技術士法第 54 条に「全国の技術士の品位の保持、資質 の向上及び業務の進歩改善に資するため」とある。当会としては、技術士分科会等 における審議、関係各府省の政策、国会等の動き、産業界や学協会の動向等を踏ま え、適切にその役割を果たしていく責務がある。

技術士資格については、資格取得のメリット、技術士の社会的知名度、認識度の 向上といった課題もある。当会は、指定試験・登録機関としての試験及び登録関連 業務を着実かつ厳正に遂行するとともに、技術士制度の発展のため、特に、技術者 倫理に関する普及啓発、CPD 支援など技術士の一層の資質向上、国際展開、産学 官連携、また、防災・減災、司法支援などの社会貢献活動に一層力を傾注していく こととしたい。 

また、今般の検討において、技術士の資質向上面で IPD や CPD の重要性や国際 的技術者資格認定について今後の国際動向も踏まえつつ適切な対応が必要などの 課題が示唆された。当会として、技術士制度検討委員会を引続き存置させ、これら の課題について今後とも検討を継続していくこととする。 こうした状況の下、更新制度の導入、資格の活用促進など今後の技術士制度の発 展に向けた国の取組みに大きく期待したい。

 

一つ、しっかり考えて頂きたいことがあります。

試験制度がどう変わっても、技術士として行うべきことは変わりません。

 

科学技術の向上と国民経済の発展に尽くすのです。

 

 

 

 

文鏡秘府論 ぶんきょうひふろん あれこれ

少し文学のことを書いてみたいと思います。

 

昔々あるところに~~~~

ではなく、私がまだ学生時代に和歌や古典文学に大変凝っていた時期がありました。

私自身は小学生のころから理系の学科が好きなこどもで、国語とか音楽、美術は嫌いだったのですが本を読むのは好きでした。

高校(高専)時代、芥川龍之介夏目漱石森鴎外と始めてフランスやイギリス、ロシアの18,19世紀の小説に嵌まりました。

特に好きだったのはフランスの大長編小説です。

レ・ミゼラブルも、ジャン・クリストフも読みあさりました。

私は、工業化学科でしたから実験の授業がありました。

実験には待ち時間があります、ビーカーでコヒーを飲みながらビクトル・ユーゴーを読んでいました。

もちろん、シャーロック・ホームズやもっと古いシェイクスピアも読んでいます。

同時期、日本の古典文学にも凝り出しました。

最初は俳句、次は和歌、そして人形浄瑠璃です。

 

以下は、『曽根崎心中』道行の冒頭です。
 此世の名残、夜も名残。死にに行く身を例うれば、あだしが原の道の霜。一足ずつに消えてゆく、夢の夢こそ哀れなれ。あれ数うれば暁の、七つの時が六つ鳴りて、残るひとつが今生の、鐘のひびきの聞き納め。寂滅為楽(じゃくめついらく)と響くなり。

 

七五調の文章は美しいと思います。

日本語は単音節で、英語のようなリズムを取ることができません、それで言葉の数を合わせて七五調の文章を発達させたのでしょう。

(専門家がこのブログを読むとは思えませんが、間違いは指摘して下さい)

 

そんな素人の文学好きでしたが、国文学者の小西甚一博士の「古文研究法」(落陽社)を頼りに勉強していましたから、自然と小西甚一博士の本を読むようになりました。

 

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これは、今でも手に入る超ロングセラーの参考書です。

普通の人が日本の古典文学をあるていど勉強するならこの1冊で十分です。

約60年前にでた本ですが、いまでもこれを超える本はないと思います。

 

その小西先生が弘法大師空海の「文鏡秘府論 ぶんきょうひふろん」を紹介しています。

私、若気の至りで購入しました。

だって、小西甚一先生は誉めています、山本健吉さんは「わが国の歌学・歌論の発達に寄与した役割は大である点まことに重要な書である。」とまで書いています。

我が国の国文学の泰斗である2人がそこまで言うのです。

これは購入するしかありません。

古本屋で見つけて30年も前ですが10万円を少し超えたはずです。

当時、江東区に住んでいましたが神保町から電車代がもったいなくて歩いて帰りました。全10冊の本を持って。

 

正直言います、読むことができませんでした。

シェイクスピアの原文や源氏物語の原文の方が、まだ簡単です。

一日辞書のと首っ引きになっても1頁程度しか読めないのです。

当時、工学部の学生でしたが「今まで古典文学を読んできたのは勉強では無かった」と思い知らされました。

微分方程式を10問解く時間で1頁しか読めないのです。

 

後に小西先生の『文鏡秘府論考 攷文篇』(講談社、1952年)を読んで、私程度の人間が手を出すべき本ではないことを教えられました。

まさに弘法大師空海恐るべしです。

 

ちなみに現在は漢文ではなく書き下した本が出ているようです。

ただし、現在の私はあのときのトラウマで手を出す気になれません。

 

皆さん、そんな経験ありますか?

私は、あの時ぐらい打ちのめされた経験はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

本日5月27日(土)第18回リーダーを目指す技術者倫理セミナー

久しぶりに東工大

行ってきます、結果はご報告します。

ちなみに、大岡山ではなく、田町のイノベーションセンターです。

 

第18回リーダーを目指す技術者倫理セミナー -ものづくりの現場における人材育成の現状と課題:技術伝承・技能伝承-
2017年5月27日 | イノベーションセンター 技術と社会部門特別講演会主催No.17-50

 

 

今回のテーマおよび論点

「技術伝承・技能伝承」

製造現場における人材育成の課題として、技術伝承・技能伝承の重要性が叫ばれて久しいが、うまく機能しているとはいえない。団塊の世代が60歳、65歳の退職時に「2007年問題」、「2012年問題」といわれてきたが、2017年には、いよいよ製造現場から熟練技術者・技能者がいなくなる。今は、なんとか堪え忍べるかもしれないが、5~10年後を考えると、厳しい未来が待っている。冷静に現実を見つめて、5~10年後の生産体制確立に向けて踏み出すべきではないか。

一つ目の問題は、熟練技術者・技能者の“退職”である。50歳代以上の者は、設備の新設、増設に携わり、トラブルを経験し、解決することにより、技術力を身に付けてきた。20歳代の人たちは、子供の頃から「危ないこと」をしないで育ち、企業においても、自動化された設備を運転し、トラブルを経験する機会が少ない。シミュレーション等の進展はあるが、座学では限界がある。バブル崩壊後、失われた20年に雇用者数が減り、30~40歳代の技術者が少なく、当初の設計に関与した熟練技術者・技能者が退職する2017年に向けて、設計の基本思想、運転条件の設定根拠がうまく伝承されていない。定常運転時はよいが、非常時には対応できないおそれがある。

二つ目は、“設備”の変化である。 設備の新・増設が減少し、着実に老朽化が進む。

三つ目は、一人一人の“管理範囲”の拡大である。一人当たりの生産量は嘗ての3~5倍になり、一人一人の作業負荷、特に、管理職は書類作成や会議他部門との調整に追われ、業務量がオーバーフローしている。

このような時代において、

・技術および技能の伝承はどのようにすればよいか。

団塊の世代が現役を退いたのちの10年後のため、どのような対策があるか。

を皆さんで考えてみたい。

 

エンジニア新刊Watchで紹介して頂くことができました

type.jp

エンジニアの理想像は「ニトログリセリン」!?技術で一生食べていける人の条件とは【担当編集者が解説!エンジニア新刊Watch】

どのような経緯でここに紹介されたのか分かりませんが、ありがとうございます。

編集担当の中尾さんのお名前が出ているから、中尾さんが宣伝して下さったのだろうと思います。

 

私は作家のスティーブン・キングが言った言葉を信じています。

それは、「本を書くのは著者だが、本を作るのは編集者である」という言葉です。

本当にその通りです。

嘘のような本当かもしれない話

再びありがたいことに、新横浜の三省堂書店で飾られました。

 

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私は、知らなかったのですが写真を送って頂きました。

何冊で1位になるのでしょうか?

そもそも、大きな書店でしょうか?

三省堂だから小さい訳無いか?

ちなみに、私は本を購入する時は池袋のジュンク堂です。

ジュンク堂では自分の本を1冊購入しています。

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中尾先生の「失敗百選」もありました。

匠習作の本の隣が「匠の技の科学」と言うのも洒落てます。

当然ですが、店の人がそこまで気を使ったとは思えません。

ジュンク堂さんも、新横浜の三省堂さんもありがとうございました。

 

安全を軽視するとこんな事故が起きるかもしれない:メキシコ湾原油流出事故

burningocean.jp

 

 

2010年4月20日世界の原油流出事故でも稀なほど大きな事故が発生しています。

石油メジャーの1社、BPが保有する2010年4月20日世界の原油流出事故でも稀なほど大きな事故が発生しています。

石油メジャーの1社、BPが保有する海底油田掘削作業中にその事故は発生しました。

BPによると2010年7月16日までの原油流出量は約78万キロリットル(490万バレル)だったとのこと。これは、1991年の湾岸戦争(推計600万バレルとも)に次ぐ規模です。
1989年に4万キロリットルが流出したアラスカ州の(エクソンバルディーズ号原油流出事故)をはるかに超えました。被害規模は数百億USドルとされています。

BP社は、イギリス・ロンドンに本拠を置くエネルギー関連企業です。
国際石油資本であり、スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の一社です。
BPは元々「British Petroleum」(ブリティッシュ・ペトロリアム、英国石油)の略でしたが、2001年に正式名としてBPを使うことになりました。

日本ではBPとカストロールの両ブランドを扱っており、BPジャパン株式会社で船舶用燃料と潤滑油、工業用潤滑油などの石油製品の販売しています。また、自動車用エンジンオイル事業は、ビーピー・カストロール株式会社で行っています。

事故は2010年4月20日夜、世界最大の沖合掘削請負会社トランスオーシャン社が管理する石油掘削施設ディープウォーター・ホライズンで、大規模な爆発から始まっています。
事故当時、126名が働いていましたが11人が行方不明となり、17人が負傷しながらも脱出しています。場所はルイジアナ州ベニス沖80キロ。

この映画は、その事故の模様を映画として再現しています。

事故の原因は安全チェックを怠っただけというお粗末なもの。

ただし、たいていの事故はこのようなことが原因になっています。

 

映画としても十分楽しめます。迫力満点。

そして、安全を軽視するとこんなことが起きてしまうと改めて考えてしまいます。

もっと早く行きたかったのですが、なかなか行けなくて日曜日にやっと行ってきました。

 

 

timesteps.net

ありがたいことに、大阪方面の書店の様子を写真で頂きました

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有名な本の近くに置いてあったりして、少し恥ずかしいですね。

でも、ありがとうございます。

本来は、私も自分で都内の書店に行きたいのですが、GW中は自宅での作業に追われています。

自動運転の「トロッコ問題」-本の宣伝ばかりじゃなくて

出版社にはご迷惑をかけたくないので、ついつい宣伝ばかりでした。

 

今回は、久しぶりにまともに書きます。

自動運転のトロッコ問題です。

機械学会でも話題でした。

また、マスコミが騒ぐほどメーカーは開発を急いではいません。

特に日本のメーカーは、慎重です。もしかしたら、慎重過ぎるかもしれません。

 

自動運転のトロッコ問題が取り正されるようになったのは、メルセデスベンツの公式発表からでしょう。

yurukuyaru.com

 

「直進すれば子供たちは死に、回避すれば運転手は死ぬ」

この救いようのない”トロッコ問題”において、自動運転車はどちらを選択するのが倫理的で正しいのか。メルセデス・ベンツが大手自動車会社としては初めて、この問題に真正面から切り込んでいます。

 

メルセデス担当者、クリストフ・フォン・ヒューゴ氏の回答

「自動運転技術は新しいものですが、この道徳的ジレンマは古くからよくあるものです。自動運転車が道路に飛び出してきた子供を認識するもブレーキをかける時間はない。横に回避すれば、対向車を走るトラックに正面衝突するか崖に落ちて搭乗者が死ぬとかの類ですね。

子供を救うべきか、搭乗者を救うべきかー。メルセデス・ベンツが今後販売する全てのレベル4/レベル5の自動運転車は、搭乗者を助けることを優先します

 

前方に子供が飛び出して、ブレーキだと間に合わない、右にハンドルを切ると大型トラックが来ている。

こんな時は、歩行者を殺して、運転手を守る。ベンツが正面切ってこんなことを言ったから話題になりました。

もし、これが認知症の100歳の老人が赤信号を渡りだし、車には運転手以外に奥さんと幼稚園児の兄弟が乗っている車ならどうですか?

 

100歳の老人なら、ほっといても明日死ぬかもしれません。

認知症なら、家族は介護に疲れているかもしれません。

そんな場合は、どうですか?

これ、簡単に結論がでる問題ではありません。

 

私は技術屋として一つの答えを提供します。

自動運転で車の中では仕事でも、食事でもできる。寝てても良いなら、制限速度を20キロぐらいにしたらどうですか?ノロノロ走る車は嫌い?そんな人も多いかもしれません。でも、自分で運転しなければそんなに気にならないのでは?

歩行者に対する事故は時速30キロを超えると死亡事故が急激に増えます。

だったら、自動なんだからゆっくり走ろうというのが考えです。

(過渡期はどうする?これは今のところアイディアがありません)

それに全ての車がレベル4の自動運転なら、信号機を無しにすることも可能です。

もちろん、歩行者は信号を発信するものを付けますが。

 

ゆっくり走っても、運転しなくてよいなら大した問題にならないと思います。

会社員なら、車に乗ってパソコンにログインしたら出社したことにすればよいのです。

車の中で、仕事ができるのですから。もちろん、全てに人がパソコンだけで仕事している訳ではないと思いますが、そんな人は多いでしょう。

グループウェアサイボウズなんか、ログインすると勤怠に打刻されます。

そんな機能があると言うことは、要望があるのでしょう。

それがだめでも、寝ることもできます。

こんな方法はいかがでしょうか?