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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

湾岸戦争時のペトリオットミサイルが撃墜失敗

航空機・船舶の事故

1991年(平成3年)2月25日。湾岸戦争当時、サウジアラビアの米国軍兵舎がイラク軍のスカッドミサイルにより攻撃を受け破壊された。死者28名の他、100名の重軽傷者が出る被害となった。

イラクのスカッドミサイル攻撃に対し、米国側はペトリオットミサイルによるミサイル撃墜防御態勢取っていた。しかし、そのペトリオトミサイルがスカッドミサイルを追跡・阻止できなかった。 

原因 は、コンピュータの丸め誤差。時刻をコンピュータの内部時計から算出するため、起動後からの経過時間が長ければ長いほど、実際の時刻からのずれが大きくなってしまう。事件当時、コンピュータの起動から 100 時間が経過しており、その時のずれは約 0.3 秒。スカッドミサイルは、その時間内に約 500m 移動できる程度にまで広がっていた。 その時点で、イラクのスカッドミサイルが米国軍の兵舎に向かって発射されたため、兵舎に辿り着く前に打ち落とすべく、ペトリオットミサイルを発射した。だが、ペトリオットミサイルのコンピュータが予測した空域にスカッドミサイルは現れず、追撃に失敗し、兵舎が攻撃された。 

対策として、アラバマ州ハンツビルのペトリオット・プロジェクト・オフィスでソフトの改善が何度も行われた。その後も検査が行われた。 

ペトリオットは、湾岸戦争以前にスカッドミサイルに対する防御として利用されておらず、また長時間継続して使用するつもりではなかった。この事故の2週間前にイスラエルからのデータにより、8時間以上継続して使用すると、精度が低下することが分かり、ソフトの改善を行った。また、長時間継続使用しないこと、改善されたソフトが送付されることを知らせた。しかし、幹部は100時間もの長時間の継続した使用を予想していなかったので、長時間というのがはっきりと「何時間」という形で示されてはいなかった。システムを再起動させることにより、長時間継続使用による誤差の発生は防ぐことができたとも言われている。しかし、再起動は約60秒から90秒を要する。戦争の恐怖の中、たとえ60秒でもミサイルを検知する装置を止めるのは、不安であるはずだ。

全ての情報が正しく伝わっており、100時間も連続使用していた場合、防御システムは役に立たない状態になっている。と、いう事が分かっていれば、再起動は行われたであろう。また、再起動さえ行われていれば、この事故が防げた可能性もある。

後日談 改善されたソフトは事故の翌日に現地に到着。その後もデザート・ストームでの経験やデータを使って何度も改善が行われた。1991年6月から1992年1月には各種検査が行われた。 

 

ここまでは、失敗知識データベースから、省略・加筆を行い転載した////

 

いつもの、事故・災害とは少し異なるケースだが、情報伝達の仕方と小さな誤差の積み重ねが大事故に繋がるというケースのため、ここに載せた。

この、湾岸戦争で使用されたペトリオットミサイルは、「PAC-2」と呼ばれるものだった。迎撃率は、アメリカ軍の発表によればサウジアラビアで70%、イスラエルで40%である。しかし、実際にはこれよりも低い確率だったのではないかと見られている。湾岸戦争で実践投入された結果から、不具合を修正しハード・ソフト両面に改良を加えたものが、「QRP」と呼ばれるミサイルシステムである。

一方、日本が現在導入し配備しているミサイルは、さらに進化した「PAC-3」と呼ばれるシステムである(正しくはPAC-3/Config.3形態)。また、在日米軍もこれを配備している。必要とされる日が来ないことを願う。