takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

生きているもの(生物)-3

『生命の進化8つの謎』の中では、「性」の起源について触れられています。

  動物や植物、あるいはもっと広く真核細胞での性の本質は、両性の性細胞である「配偶子」の融合によって「接合子」という一個の細胞が生じるところにあります。各個体は両方の性から半分ずつの遺伝子セットを配偶子として貰い、そこから出発して新しい個体ができてくるのです。
 配偶子は標準的には一揃いの染色体しかもっていません。言い換えると「半数体」です。そのため、接合子は二揃いの染色体をもっ「二倍体」となります。要するに新しい個体は両親から遺伝情報を受け取ることになります。長い眼で見ると各個体は多数の祖先から遺伝子を受け取り、また多数の子孫に遺伝子を分配することができるのです。

 これは、遺伝子を混ぜ合わせるには、素晴らしい方法です。例えば、今では別の個体の中に離ればなれになっている遺伝子でも、その祖先をたどれば過去には同じ個体の中にあったかもしれません、またさらに子孫の中で再び合流するかもしれないという考えなのです。別の見方をすると、生物の種、すなわち交雑し合うことが可能な一群の個体は、共通の遺伝子プールをもった進化の単位をなしていることになります。また、その遺伝子プールは、大部分が共通です。

 もし、人間が有性生殖によらず単独で体が分裂し(漫画にあるように)一定のスピードで増殖していくならば、コピーエラーがない限り全ての個体は同じ遺伝子になります。そうした場合、例えば致死性の病原体によって全滅する可能性が高くなります。遺伝的な個体差がないのですから、抵抗力も同じなのです。やられる時は全員やられると言うことです、

 男性と女性が半分ずつ遺伝子を提供して一揃いの遺伝子セットを作る。しかも、何の意識もなしに。

 ここで、次回に繋げるために単為生殖について少し説明します。

  正確に言えば、単為生殖とは、本来は接合によって新しい個体を生ずるはずの生殖細胞が、接合を経ることなく新しい個体を形成することです。たとえば、卵といわれるものは、精子が入って受精が行われることで発生が始まります。そこから、新たな個体へと成長するのでする。ところが、卵が受精を経ずに発生を始める例があり、このようなものを単為生殖と呼ぶのです。言い換えると、有性生殖器官を強引に無性生殖的に用いてしまうわけです。

 ほ乳類や鳥類には、自然界に単為生殖が見られませんが、人工飼育の環境下では時々観察されています。おそらく、環境が単為生殖を発生させているのでしょう。ちなみに、もし、マリア様がイエスを産んだのが単為生殖だったとすれば人間でも希に発生するということであり、その仕組みが分れば、今流行の「妊活」は不必要なことになります。