福島原発事故-20
今回から少し専門的な話になります。なるべく、専門用語を使わないでご説明するつもりですが、ゼロにはなりません。その都度ご説明します。今回は、5つの需要な言葉の説明です。順番に行きましょう。
以下、「IT用語辞典 e-Words」より
フェイル セーフ【 fail safe 】
故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することをあらかじめ想定し、起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をしておくという設計思想。
例としては、石油ストーブが転倒すると自動的に消火するよう設計されていることや、加圧水型原子炉の制御棒の電源が切れると制御棒が自身の重さで炉内に落下して自動的に炉を停止させるよう設計してあることなどが挙げられる。
フォールトアボイダンス 【 fault avoidance 】
システムや装置の信頼性についての考え方の一つで、なるべく故障や障害が生じないようにすること。個々の構成要素の品質を高めたり、十分なテストを行ったりして、故障や障害の原因となる要素を極力排除することで信頼性を高めるという考え方。
そうは言っても、人が作ったもの、人が運用するものに関して障害や故障が一切起きないようにすることは難しいため、多少の障害が発生しても全体の機能が停止しないような仕組みや設計にしておくことが重要であるという考え方もある。このような考え方は「フォールトトレランス」(fault tolerance)という。
フォールトトレランス 【 fault tolerance 】
システムに障害が発生したときに、正常な動作を保ち続ける能力。
言い換えれば、障害発生時の被害を最小限度に抑える能力のことである。「耐障害性」「故障許容力」などと訳される。アベイラビリティと共に使われることも多い言葉だが、「どれだけ障害が発生しにくいか」ではなく「故障が起こった際にどれだけ耐えられるか」という意味が強い。
例として、複数のエンジンを搭載した大型の航空機は、いずれかが故障しても残りのエンジンである程度は飛び続けられるよう設計されている。コンピュータシステムで言えば、電源を多重化したり、定期的にデータのバックアップを取ること、電源に無停電電源装置を用いることなどがフォールトトレランスにあたる。
アベイラビリティ 【 availability 】 可用性
可用性、つまりシステムの壊れにくさのこと。障害の発生しにくさや、障害発生時の修復速度などによって計られる。アベイラビリティの高いシステムと言えば滅多に障害が発生せずいつでも安心して使えるシステムを指し、逆にアベイラビリティの低いシステムとは障害が頻発し、しかもなかなか復旧しないシステムのことを意味している。
フールプルーフ 【 fool proof 】
工業製品や生産設備、ソフトウェアなどで、利用者が誤った操作をしても危険に晒されることがないよう、設計の段階で安全対策を施しておくこと。正しい向きにしか入らない電池ボックス、ドアを閉めなければ加熱できない電子レンジ、ギアがパーキングに入っていないとエンジンが始動しない自動車、などがフールプルーフな設計の例である。
「fool proof」を直訳すれば「愚か者にも耐えられる」だが、その意味するところは「よくわかっていない人が扱っても安全」。その思想の根底には「人間はミスするもの」「人間の注意力はあてにならない」という前提がある。安全設計の基本として重要な概念である。
アベイラビリティ以外は、日本語になっていませんし、そのアベイラビリティも「可用性」と言う何のことなのか分からない日本語?になっています。しかも似たような言葉が多く覚えにくいのですが、逆に試験で狙われます。技術士試験は無論、その他工業系・ITエンジニア系の資格試験に頻出している言葉ですから、その分野を目指している方は丸暗記して下さい。大学の期末試験でも出るかも知れませんが、最近の校内試験については情報が全くありませんので、私は分かりません。私の頃は、一行問題と言われる先生が作りやすい問題が多かったのですが今はどうなのでしょう。ちなみに、一行問題とは、上記の例で言うと「フール プルーフとは何か、〇〇文字以内で説明せよ」みたいな問題です。現在でも、公務員試験などでは使われているようです。
原子力発電所は、これら安全性工学・信頼性工学の概念を駆使して事故を防止するように設計されていました。しかし、福島第一原発ではそれが機能しませんでした。否、機能はしたのですが、何かが不足していたのです。