takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

技術士試験に「トランスサイエンス問題」その訳は?-1

おはようございます。

さぼっているブログですが、たまには真面目に書いてみます。

平成29年度の技術士Ⅱ次試験の問題が公開されました。

私は、仕事の必要上、21部門96科目全ての問題に目を通します。

今年の技術士試験で変な問題がありました。

変な問題とはどんな問題か?

応用理学部門:選択科目は地質の課題解決能力を試す問題です。

 

Ⅲ-2

科学に問うことはできるが,不確実性や科学以外の価値判断を含み,科学者(専門家)が科学的知識だけでは答えられない問題は「トランスサイエンス問題」と呼ばれる。
核物理学者のアノレヴィン・ワインパーグにより1972年に提唱されたこの概念では、問題について「専門家が答えを出せること」、「専門家が確かな結論を出せないこと」、「科学技術以外の価値判断が関与するので専門的知識では答えが出せないこと」の3段階に分けて考えることの重要性が示唆されている。

近年,技術者には専門的知識のみでなくトランスサイエンス問題を意識した課題解決能力が必要になりつつある。以上を踏まえて、以下の問いに答えよ。

なお,解答の目安は,( 1 )及び( 2 )で2枚程度、( 3)で1枚程度とする。


( 1 )現代社会において,あなたがトランスサイエンス問題として考えるものは何か、上記の概念とあなたの経験又は知見を踏まえて概説せよ。なお,以下の事例から選択してもよい。
例)地球温暖化,土壌汚染,地震対策


(2) (1)で挙げたトランスサイエンス問題に敢り組む上で,特に重要と考えられる事項を複数挙げ、それらに対する具体的方策について述べよ。


(3 ) トランスサイエンス問題に取り組むに当たり、技術者と公衆の視点の違いを念頭において、技術者に求められる視点を複数挙げ、あなたの考えを述べよ。

 

技術士試験に関係無い方は「なんだこれ?」と思うかもしれません。

技術士試験を受ける方でも「なんでこんなことを問うのだろう?」と思うかも知れません。私は、そう感じました。でもよく考えると作問者の意図が見えて来ます。

 

トランスサイエンス問題とは、

トランスサイエンス(trans-science)とは、一般的には「科学に問うことはできるが、科学によってのみでは答えることのできない問題」と定義される概念です。
接頭語“trans-”は「~を超える」の意味なので日本では「超科学」と言うときもあります。ただ、「超科学」はオカルト系でも使われますからこの訳は使用しない方が良いと思います。

トランスサイエンスを言い出したのは、米国の物理学者A・ワインバーグ博士です。
1972年に提唱しました。
要するに、世の中には純粋に科学だけで解決できる問題と、一見科学的だが科学だけでは解決できない問題があり、現代ではむしろ後者のほうが多くなっていると主張しましたそして、自らこれを「トランスサイエンス問題」と名づけた訳です。

A・ワインバーグ博士はこれを原発の安全問題について例えています。


原発の安全装置がすべて同時に故障すれば深刻な事態になることで専門家の意見は一致する。しかし、そのような事態が起こりうるかどうかについては、専門家の意見は分かれる。つまり、確率がきわめて低いことは『科学によって説明できる』が、低い確率の危険に備えて、もうひとつ安全装置を追加すべきかどうかについては、『科学ではわからない』……社会が決めるべき問題となる」

と言った主張です。

これは、科学の進歩に関係ありません。どんなに進歩してもつきまとう話です。

ですから、この問題を試験問題としたのはなぜか?と思った訳です。

しかも課題解決能力を問う問題です。

なんか変?

そうではなくて当然の問題?

 

数回に分けて考えて見ます。

あまり日にちは空けません。