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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

浜岡原子力発電所1号機、蒸気配管の破断による蒸気漏洩

工場・施設の事故

最近の話ではありませんので注意して下さい。

 

2001年(平成13年)11月7日、静岡県小笠郡浜岡町佐倉にある中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機において、閉止されている高圧注入系の手動起動試験を実施したところ、配管破断による蒸気漏洩で、高圧注入系が停止した。

配管内で水蒸気が凝縮し、水素ガスと酸素ガスが局所的に蓄積・滞留した。推積した白金とロジウムを発火源として、滞留した水素ガスと酸素ガスが燃焼した。燃焼波の伝ぱに伴い圧力上昇が生じ、配管は膨張変形し、エルボの破裂に至った。

原因

  • 高温水と水蒸気は流動していることが前提であり、水蒸気の凝縮による可燃性ガスの発生の考慮がなかった。
  • 腐食の抑制を目的とする白金とロジウムの使用が、燃焼の発火源となる考慮がなかった。

対処

  • 定期試験を実施する(蒸気を流す)前に、水とガスを抜き取る必要がある。
  • 腐食抑制の方法について、検討し直す必要がある。

対策

  • 原子力発電所の配管の内部での燃焼による事故を始めて経験した。
  • 高温水と水蒸気の環境では燃焼は起きないという常識を捨て、水蒸気の凝縮による可燃性ガスの生成と燃焼の発火源の可能性を洗い直す必要がある。

知識化

「想定外事象」

設計では、起こり得る事象を想定し、想定事象に対して対策を構ずる。想定事象と具体的な対策は、設計規格に明示されている場合が多い(公式による設計、design by rule)。設計規格は完全ではあり得ず、また過去に経験のない設計、自由度の高い解析による設計(design by analysis)、流用設計などでは、しばしば想定外事象が事故の原因となる。事故に直結する事象を正確に想定することが、設計者に要求される能力である。

後日談

事故後の11月21日に、配管破断事故の原因は熱疲労との報道が各紙によってなされた。これについて配管の破断に詳しい小林英男 東京工業大学教授(金属材料工学)は、「縦方向に裂けたという破断の状況から見て、熱疲労が主要因とは考えにくい。浜岡原発の配管は普通の10倍位の高圧がかかったことで破裂したと考えるのが妥当で、熱疲労による破断とは様式が違うと思う」と話している(紙上コメント)。

 

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載しました。

 

FTAやFMEAなどの故障解析に興味のある方、品質改善手法を理解したい方は、上記事故の元記事にアクセスして下さい。FTAのツリーが作成されています。

品質改善の手法は様々ありますが、ほぼ全てアメリカ生まれです。しかも、50年~70年も前に考案されています。アメリカ軍や宇宙開発側からの要求により、ベル研究所などの研究機関が考案しています。

しかしながら、これらの手法を上手く使って製品品質を高めたのは我らが日本国の自動車メーカーや家電メーカーです。品質改善の手法は、手法そのものも改善されますから、やり方を真似て自分たちに合わせて使用すると大抵の場合使い勝手がよくなります。現在、韓国、中国のメーカは日本の手法をさらに改善して使用しており、日本のメーカーは苦しめられています。断言はできませんが、家電品では日本が首位に返り咲くことはないと思います。特に韓国はエンジニアの仕事に対する意気込みが違います。1970年代の日本もあんな感じだったのかな?と思わせる「モーレツ」感があって、「この意気込みが、スマートフォンのギャラクシーを生んだのか」と考えてしまいました。

一例を紹介します。私にFTAやFMEAの手法を教えて下さった方は、設計コンサルをされている技術士の先輩です。その設計コンサルの方は、韓国のサンスン電子や現代自動車でも設計段階での品質改善手法を教えています。その方から聞いた話です。

韓国の2大メーカーでは、企業内研修を土日の休日に行います。出勤手当は付きません。なぜなら、業務を行うことと、教育研修は異なるという考えがあるからです。今の日本ならすぐに「ブラック企業」と呼ばれるかもしれません。また、エンジニアの給料は年俸制かつ業務指名制です。優れた技術と知識、チーム運営能力がないと仕事がもらえないのです。もらえなくても契約した1年は、給料を貰って会社にいられますが、1年を過ぎたら「さようなら」となります。会社に残りたかったら自分の「腕」を上げるしかないのです。これは、設計者だけではなく、生産技術者、品質管理者なども同じです。

ゆとりを持って、自分のペースで働くのは良いことです。しかし、どの産業でも競争相手がいます。追いかけて来る人達は、当然のように努力しています。技術屋は、現役で有る限り最先端について行かなければなりません。