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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

中越沖地震による原子力発電所の火災

工場・施設の事故

2007年(平成19年)07月16日、新潟県柏崎市にある、東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、原子炉3号機変圧器付近での火災が発生し、約2時間後にようやく鎮火した。

 

経過

2007年7月16日の10時13分、新潟県中越沖を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生した。以下、今回の地震で特徴的であった出力821万KWの原発の火災関連を中心に記述する(図5)。

震源地から約16KMの柏崎刈羽原子力発電所で稼働していた同発電所の発電機のうち、2号機、3号機、4号機および7号機は、地震により自動停止した(1号機、5号機および6号機は定期検査のため停止中)。

 

10時15分、パトロール中の2号機補機捜査員が、3号機タービン建屋外部の変圧器からの発煙を発見し、3号機当直長に連絡、当直長の指示により、社員2名と現場作業員2名で初期消火活動を開始した。

 

10時15分頃、3号当直長が119番通報を開始するがなかなか繋がらず、発電所緊急対策室のホットライン(消防署への通報・緊急連絡線)は、地震により対策室入口扉が開かず、活用できなかった。

 

10時27分、ようやく消防署に繋がった時「地震による出動要請が多く、到着が遅れるので、消防隊到着まで自衛消防隊で対応して欲しい。」との回答があった。

防火衣も着用せずに消火に当たった4名は、水による冷却の目的で消火栓から放水したが、屋外に敷設されているろ過水から消火設備間の配管破断により放水量が少なく、消火が思うように進まなかった。

 

10時30分頃、火災を起こした変圧器の油が燃え始めたため、危険を感じた4名は安全な場所に退避し、消防署の到着を待った。

 

11時32分、消防署による放水が始まり12時10分頃に鎮火した。

この地震により、6号機において、微量の放射能を含んだ水が外部に漏えいした(1年間に自然界から受ける放射線量2.4ミリシーベルトの1億分の1程度)(新潟県調査では人工放射性物質は、周辺においては検出せず:7月18日、新潟県発表)。

7号機においても主排気筒より放射性物質を検出(1年間に自然界から受ける放射線量2.4ミリシーベルトの1千万分の1程度)(7月20日以降、検出なし)。

 

原因

1.

設計時の想定加速度を超える地震動

マグニチュード6.8の地震の震源地に近かったため、想定加速度(設計加速度)を超えた地震動であった(図6)。3号機タービン近くの建屋上部での観測値は、東西方向2,058ガルで設計値834ガルを大きく超えていた(図7)。そのため、3号機の変圧器付近の不等沈下によって、火災が発生した(図4)。

 

2.

火災の消火に時間を要した原因

・消火用の配管が、地盤の不等沈下で破断し消火作業ができず、必要なときに機能しなかった。

・自衛消防隊に化学消防車が配備されていなかった。

原発と消防機関を繋ぐ発電所緊急対策室のホットラインが機能しなかった。

・地震と火災への対応は別々のマニュアルとなっており、大規模地震による火災発生を想定した対応策(マニュアルや訓練など)が不十分であった。

 

知識化

1.設計値はあくまでも人が仮定したもので、自然は容易にその値を超えてしまう。

2.考えられることは、起こる危険性があるとの考え方が大切である。特に原発において、地震で火災が発生した場合の対応は、被害を危機的なものにしないためにも、非常に重要といえる。

3.原発における地震の被害は、放射能漏れ、火災、クレーンの破損など多岐にわたり、長期の稼働停止を余儀なくされる。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

この事故は、大きな教訓だった。この事故を教訓に地震に対して準備・対策を行っていればあるいは、福島の事故は防止できたかもしれない。例えば、JR東日本は、上記地震の3年前、2004年(平成16年)10月23日17時56分に発生した新潟県中越地震(2007年とは名称が違う)の時に上越新幹線とき325号」の脱線事故を経験している。しかし、その事故原因を徹底的に分析し、「JR東日本の新幹線脱線対策に対する取り組みについて」の中で、一般の人にもわかるように、安全対策についての対策を公開している。そのため、2007年の中越沖地震(新潟県が付かない)では、何事も起こらず、事故にいたっていない。もちろん、東日本大震災でも事故は発生していない。

一方、東京電力は、設計時の想定を越えた揺れだったことを強調するばかりで対策は疎かになっていたようである。何にもしていないと言うことはあり得ないと思うが、JRのような対策を公開した形跡はない(形の上なら、このように公開している)。見てお分かりの通り、これではただ、「対策しましたから安全です」と言っているだけである。基本構造を設計した時点で想定していない揺れに襲われた時の対策は、大変難しいものである。二重三重の防護と、且つそれらに対するそれぞれのバックアップも必要になる。本来ならJRのように、そこを具体的に公開すべきなのだ。そこを、しっかり行わないから、こんなサイトまでできてしまう。

もちろん、東京電力を一方的に非難するつもりはない、これまでに発生した事故件数や被害者数ならJRの方が遙かに多いと。原子力の事故で被曝による死亡事故は、1999年9月に発生したJCOの臨界事故(2名)だけである。しかし、事故が発生した時の対処の仕方が違うのだ。

原発は再稼働するのだと思う。それは良い、火力発電で使用する燃料費を考えたら、安全が確認できている原子炉を再稼働させるのは間違いではない。しかし、どのように対策して、問題ないと判断したのかは公開するべきだと思う。また、マスコミはそこを、しっかり調査して公表して欲しい。もし、再び万一のことがあれば日本の原子力利用はおわってしまう、そうならないで欲しい。