takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

三井有明鉱火災事故

1984年(昭和59年)1月18日、福岡県三井三池炭鉱有明鉱において発生した坑内火災である。

この火災によって83人が死亡した。ネット上では、「日本における最後の大規模な坑内火災災害」と出ている。しかし、翌年の1985年(昭和60年)には、 北海道の三菱南大夕張炭鉱にて死者62人となるガス爆発事故が発生している、83名よりは少ないが62名の死者が発生した事故は大事故と言ってよいと思う。もちろん、災害の種類としては違うタイプではある。しかし、私は、最後の大規模坑内災害は三菱南大夕張炭鉱での事故だと思う。まあ、これは余談。

その、三井有明炭坑の事故であるが、火災の原因は単純で、旧式ベルトコンベアの整備不良からの発火である。コンベアから発火した火は、そこに付着し堆積していた炭粉に着火して、火は一気に鉱道内に走った。坑道内で稼動中の坑夫らは、逃げ場を失い、多くは一酸化炭素中毒によって死亡した。

遺族らは福岡地方裁判所に損害賠償請求を提起した。訴訟は、当時としては異例のスピードで審理を進め、企業の責任を認め、集団提訴から3年半で和解解決を得た。集団被災訴訟における民事的紛争解決のあり方を提示した訴訟である。

83名の命を奪った事故だが、どこを探してもこれ以上の記事が見つからない。現在、日本国内では、稼働している炭鉱そのものが無い。そのため、今後、炭鉱事故が発生することは無いだろう。

炭鉱事故には、おおよそ以下の種類がある。

ガス爆発:石炭を含む炭層には、メタンガスが多く含まれている。炭坑は閉鎖された空間内での作業のため、メタンガスへの引火が事故の元になることが多い。1914年(大正3年)、福岡県の方城炭鉱にて発生した爆発事故は、死者・行方不明者687名であり、近代日本史上最悪の炭鉱事故とされるが、推定されている原因はこれ。

ガス突出:メタンガスや一酸化炭素が大量に噴出すると酸欠状態になり、作業者は酸欠死する。また、メタンガスの場合は上記のガス爆発に繋がる。

粉塵爆発:石炭の微粉末が、小さな火花などで爆発する事故。常に、散水を行うことで防止するが、そのような保守・安全配慮が行き届かず大事故に繋がることがしばしばある。1963年(昭和38年)、福岡県三井三池炭鉱にて発生した爆発事故は、死者・行方不明者458名、第二次世界大戦後の事故では最多の死者数となった、その原因は粉塵爆発である。

炭坑火災:炭鉱事故の中でも特に被害が大きくなりやすい事故である。通常の火災と違い、周囲に可燃物である石炭が大量に存在するため、ほとんどの場合、鎮火するまでに時間が掛かる。

海水流入:海底に鉱区がある炭鉱で落盤が起きた時に発生する事故である。海底炭鉱では坑内火災をも超える事故になる恐れが強い。噴出した大量の海水によって坑道が短時間で水没するため、中にいた作業員のほとんどは逃げ遅れて溺死する。日本では、1916年 東見初炭鉱(山口県・死者行方不明者235名)、1943年 長生炭鉱(山口県・死者行方不明者183名)が発生している。