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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』・プロローグ編

科学技術 書評

 昨日は、ブックマークを沢山頂きました、ありがとうございます。また、1日で9名の方が読者登録して下さいました。本当に感謝いたします。さらに不思議なことに通常700件前後のアクセス数が、いきなり3,824件まで延びました。技術士試験間際の時でさえ1000数百だったのですが、一体何が原因なのでしょう。『ガリレオの指』は、とても良い本ですがベストセラーではありませんし、10年前に出版された本です。この本の題名が原因ではないと思うのですが、今のところ推測できません。また、私は、Twitterを使用していませんが、昨日はTwitterから見に来て下さる方も多く(もちろん、ブックマークの方が多いです)色々驚かされた一日でした。ちなみに、私は未だに「はてな」の仕組みをよく理解していません。

 

「なぜガリレオの指なのか? ガリレオは、科学研究が新しい方向へ進みだした転機を象徴している。科学者が重い腰を上げ、権威と手を組む思考で世界の本質をつかもうとしたそれまでの手法の効果に疑間をもち、近代科学の道をおぼつかない足取りで歩きだした。」と、アトキンスは書き出しています。

 

 近代科学は、広く検証できる実験観察の繰返し、積み重ねによって自然が持つ神秘のベールを一枚一枚剥がしていく知的活動です。アトキンスは、ガリレオの指が真理を掘り起こすために有用なものを象徴していると説きます。また、「ガリレオの体で指だけが保存されているのに、彼の技法はさまざまに応用され発展しているという事実は、身体はかりそめの存在にすぎないが知識は永遠だという真理も象徴している。」と繰り返します。

 

 科学史を調べると、ガリレオの功績が大きなものであったことはすぐに分かります。また、個々の実験の有用性よりも一層際立つのは、ガリレオが「問題の本質だけを取り出す単純化の技法」を考え出し使ったところなのです。羽毛と鉄球を同じ高さから落としても同時に着地しないのは、空気という障害物があるからであり、物体の落下を考える際に空気という邪魔なものは除いて考えるべきだと最初に考えたのはガリレオだと言って良いでしょう。

 

 アトキンスは、本書で10の「深遠なアイデア」を挙げるにあたって選択の基準を説明しています。本書は、応用よりも基本的なアイデアに注目しています。ブラックホール宇宙旅行、情報テクノロジーやコンピュータ処理には触れられていません。アトキンスの狙いは、テクノロジーの進歩の土台を明確にするような、あるいは土台を提供するような基本的なアイデアに注目するところにあります。思想家フランシス ベーコンの言葉を借りて「実りをもたらす」アイデアと「光明をもたらす」アイデアのうち後者のアイデアに注目したと語っています。

 

 また次に、本書の読み方も解説しています。本書ではなじみ深い事実から基本原理へ掘り下げながら解説が進みます。それは、教科書のように基本原理から説明すると初めのうちはとても退屈だからです。とは言え、この本の各章は割と独立しているのでどこから読んでも理解はできるでしょう。

 

 加えて、物事を抽象化することの重要性を説き、「抽象化には非常に実用的な意義がある。というのも、現象間の意外な結びつきを明らかにし、ある領域で生まれた考えを別の領域に応用できる場合があるからだ。」と言っています。言い換えると、以下のような順番で説明すると言うことです。

 

  1. 知られている事実・データを示す
  2. そこから、基本原理を説明する
  3. その原理を抽象化する
  4. 抽象化してより大きな見地から事実を見る

 

 アトキンスは、プロローグの終わりでこう語ります。「順番に章を読めば、章を読み終えるごとに、それまでの内容に対する理解が深まっていくはずだ。~略~科学はルネッサンスの精神が行き着いた極致であり、人間の精神とちっぽけな脳の理解力が打ち立てた見事な金字塔だ。」

 

 自信満々でここまで言われたら、読まないわけには行きませんね。さあ、およそ430ページの旅に出ましょう。