takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

人類=ホミニン=Hominins

 少し前に、「過去へ向かって歩いてみよう」と言う訳の分からない題で記事を書きました。

 

過去に向かって歩いてみよう-1 - takumi296's diary

 

 全部で3回に分けて書きましたが、1歩1,000年で過去に向かい最終的に2,600歩、260万年前まで遡った訳です(鮮新世の終わり、更新世の始まり)。

 では、更新世の始まりと同時に人類は誕生したのでしょうか。そうでは、ありません。人類(ホミニン)は、約700万年前にチンパンジーと枝分かれしたことが分っています。そこからさらに派生した人類の仲間達は23種、その中の一系統が私たちの進化の足取りです。23種の中のほとんどは、新たな種を生み出すことはできずに滅んでしまいました。あるいは、私たちの祖先によって滅ぼされた可能性もあります。

 これから、また何回かに分けて私たちの祖先とその親戚、仲間、敵、達をご紹介します。それと、今回は古い方から紹介します。

 最初によくある誤解についてご説明します。我われ人は、チンパンジーと枝分かれし、お互い別々に進化してきました。決してチンパンジーが進化して人になったのではありません。チンパンジーは、チンパンジーで進化して今のチンパンジーがあるのです。

 ですから、700万年前に私たちの祖先と枝分かれしたチンパンジーの祖先もまた、今のチンパンジーとは異なる種です。ここは、ぜひ押さえておいて下さい。

 もう一つ、「種」の定義ですが、ここは生物学界で主流の定義に従います。つまり、「交配できる自然個体群のグループで、他のグループとは生殖的に隔離されているもの」です。雌馬と雄ロバを交配させるとラバ、雄馬と雌ロバならケッティが生まれますが、ラバもケッティも染色体の異常から不妊で子孫を残すことができません。ですから、これは別の種と考えます。

 さて、チンパンジーと枝分かれした頃の人類系統樹スタート地点にサヘラントロプス・チャデンシスと呼ばれる種がいます(他にもいます)。700万年前の地層からその骨が見つかっています。ただし、見つかったのは頭蓋骨1個と数点の歯だけですから、それほど詳しいことは分っていません。しかし、この骨は明らかにそれまでの類人猿の骨と異なるものであり、種として別と考えられています。

 今後、研究が進めばこの舌をかみそうな「サヘラントロプス・チャデンシス」が、人へ繋がる類人猿の元祖であるのか、それともやはり滅んでしまった種の一つなのかが分るはずです。700万年前に死んだ類人猿と人の中間にあるような生物の化石、見つかるのかどうか分りません。でも、考古学者達は、アフリカの様々な土地で「それ」を探して研究を続けています。期待しましょう。

 続きます。