takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

過去に向かって歩いてみよう-1

 変なタイトルです。皆さんをバーチャルな旅へとお誘いしたいと思います。

 グーグルグラスのようなメガネを着けて、ドラエモンのようなロボットから借りた靴を履きます。この靴は1歩進む毎に、あなたを1000年前の空間へ連れて行きます。取り付けたメガネによって世界のどの地域でも映し出すことができます。

あなたが男性なら1歩は0.7メートル。

女性なら0.6メートルです。

 もう一度書きます、1歩歩くと1000年タイミスリップした世界を観ることができるのです。

 映像に夢中になっても交通事故の心配はありません、ジョギングや散歩の人がまばらにいるだけの細長い公園を歩くのです。

 では、行きましょう。

 1歩目、あなたは紫式部が筆を使って源氏物語を書いているところを目にするでしょう。宮中の女性はお風呂にあまり入りませんから近づくと匂うかもしれません。遠目に見るだけにしましょう。

 2歩目、2000年前しかも、今度は海外です。イエス キリストに会えるかもしれません。実在したかどうか怪しい人物ですが、世界で最も売れた本に伝記が残されています。実在しないという証拠はありませんから、なっとくしましょう。しかし、クリスマスが誕生日だと言うのは間違いです。イエスが生まれたとき、あたりでは羊飼いたちが野宿をしていたと、聖書には書いてあります。
「この地に羊飼いらありて、夜もすがらこもごも起きて群を守りおりしが、主の使い、そのかたわらに立ち、主の栄光そのまわりを照したれば、いたくおそる。」(ルカ・2章)。
 パレスチナは亜熱帯ですが、海抜八百メートルのこの地域は、冬になれば寒く、とうてい野宿などできません。

 3歩目、3000年前です。統一イスラエル王国でダヴィデ王が即位。ヘブロンからエルサレムに遷都したのがこの頃です。まだ、イスラム教キリスト教もありませんから、宗教戦争はなかったのでしょうか?しかし、バラモン教は、このころ成立しています。考え方の違いによるいざこざは、今も、1000年前も、3000年前もあったでしょう。ちなみに、日本は縄文時代晩期、中国大陸では周王朝の頃です。

 4歩目、まだ2.8メートルしか歩いていません。しかし、4000年も昔を見ています。エジプトは、中期の盛り上がりを見せた第11王朝の頃です。また、シュメール王朝はハンムラビによって滅ぼされています。

 5歩目、あなたは、新石器時代の終わりを目撃します。エジプトでは、最初の王朝が統治を開始し、世界中で小さな都市ができはじめたのもこの頃です(アメリカ最古の都市カラルもこの頃です)。また、世界の人口は3000万人程度まで増加しています。

 6歩目、6000年前です。キリスト教の若い地球創造説支持者は、原始的な世界の歴史が始まったと考えている時代です。残念ながら、それより遙かに古い時代のものが無数に見つかっています。宗教として信じるのは自由ですが、科学的には間違いです。また、この頃、大規模な気候変動があり、サハラは砂漠化しました。

 7歩目、ギリシャテッサリア地方では、新石器文化の農耕民の集落が栄えました。しかし、この時代は日本に目を向けてみましょう。日本では縄文時代前期でした。この時期、人口が大幅に増加し、竪穴式住居や貝塚が盛んに作られます。丸木舟による漁労活動や交易が盛んに行われるようになりました。
 しかし、ここで天変地異の大災害が発生します。 鹿児島県大隅半島南端佐多岬の南西約40kmにある鬼界カルデラ大爆発です。その火砕流は半径100kmの範囲を覆い、またその火山灰は西日本各地に大量に降り注ぎました。西日本、特に九州の先史時代から縄文初期の文明も人もこの噴火で途絶えたと考えられています。言い換えると、全滅です。この大災害は、 縄文初期の遺跡や遺物が東日本・東北に集中している理由と考えられています。

 1日でたった7歩(4.9メートル)でしたが、この後は資料が少ないのでピッチは上がります。何が言いたいのか、要するに私たち人間の時間認識力はたかが知れていることを説明したいのです。例え話の作り方は、ドーキンスを真似ました。

今日は、出張で大阪に来ています。では、また明日。