takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

レ ミゼラブル:良き人バルジャンと正しい人ジャベールの葛藤-3

第4部「プリュメ通りの牧歌とサン ドニ通りの叙事詩

 ブルボン王家を倒した1830年の革命がブルジョワジーによって中途半端にされ,王族のオルレアン家のルイ=フィリップを王座につけたにすぎないことが、当時の世相の分析を通じて示されます。前回も触れましたが、慈善家ルプラン氏はジャン バルジャンであり、マリウスが恋した少女はコゼットでした。判断のできないコゼットを修道女としてしまうことに気づかったジャンは、フォシュルヴァン老人の死を機会に尼僧院を出ます。新しく始まった国勢調査のおかげで、老人の弟として記録されたため、フォシュルヴァンの名で国民軍に編入され、やや安全になったという事情もありました。プリュメ通りの新しいかくれ家の生活は幸福でしたが、ジャンはコゼットが公園で会う青年(マリウス)に心を奪われているのに気づき、 嫉妬に近い感情に悩まされます。マリウスはついにプリュメ通りの家をつきとめ、ジャンの留守にコゼットと言葉を交わし、純真なふたりは始めから愛を誓います。だが気配を察したジャンはイギリスへ去ろうとします。絶望したマリウスは、結婚を考えるのですが、当時の法律で25歳前は後見人の許可が必要でした。そのため、祖父に会うのですが、情婦にしろといわれて再び決裂します。おりから1832年6月5日、共和主義者たちはバリケードに立て籠もります。痛快な浮浪児ガヴローシュの気転で、スパイに入ったジャヴェール警部は捕虜になります。

 

 サン ドニ街のパリケードに友人を求めて行ったマリウスは、参加を決意、ガヴローシュがテナルディエの末子で捨てられた子と知り、コゼットあての別れの手紙をたくします。そこには、少年を死から救う意味もありました。しかし、少年は手紙を門前で会ったジャンに渡してバリケードへ戻ります。マリウスが死ねば、コゼットを独占できると考えたジャンは、一瞬後に暗い気持になり、すぐに考え直し国民兵の装備で出て行きます。

 

第5部「ジャン ヴァルジャン」

 全市の反乱は起こらず、バリケードは各所で孤立しました。ジャンは国民兵の制服のおかげで警戒線を通過し、バリケードの中に入ることができました。翌日、バリケード内の弾丸は残り少なくなり、政府軍の最後の突撃が迫っていたため、スパイを処刑することになりました。それまで人間を撃たなかったジャンがその役を買って出ます。マリウスは不快に感じたのですが、ジャン バルジャンはひそかにジャヴェール警部を自由にしました。

 その後、政府軍が猛攻撃を開始、バリケードはすぐに破壊され青年達は弾も尽き、剣でも戦いますが銃や大砲に勝てるわけも無くほとんどがその場で殺されます。マリウスも、重傷を負い、意識を失うのですが、ずっと見守っていたジャンは彼をかついで下水道へ逃げ込みます。勤務に復したジャヴェール警部はセーヌ河畔でテナノレディエを発見します。ジャベールは、尾行するのですが、下水口の鍵を持っている彼に逃げられます。苦闘の末に出口を見つけたジャンに、それと気づかずテナノレディエは「殺人」の分け前を要求し、鍵を渡します。出口に張っているジャヴェールに引き渡すためでした。しかし、ジャヴェールはジャンの頼みを聞き入れマリウスを祖父の家へ運ぶのを許し、結局、逮捕しませんでした。彼は、自分のしたことが理解できません。善は権力側あり、正しい側(法律的に)に立つことが人として良く行きることだと信じていた人間でした。しかし、ジャン バルジャンの行動を見ていてその世界観が壊されてしまったのです。愚直なジャヴェールは結局、自殺するしかありませんでした。

 

 マリウスを愛する祖父は頑固さも振り捨て、すべてを許します。6か月後、回復したマ リウスはコゼットと再会します。ジャンは60万フランに近い現金をコゼットの婚資として渡します。ふたりの結婚後、ジャンは誠実さから徒刑囚だったことをマリウスに告白します。マルウスはコゼットからジャンを遠ざけようとします。しかし、ジャンのことを密告しに現われたテナノレディエの口から、下水道の中を気絶したマリウスを担いで自分を救ったのがジャン バルジャンだと分かり、コゼットとふたりでジャンの家へ駆けつけます。心痛から重病になっていたジャンはふたりに見守られながら天国へ上ります。

 

 これで、あらすじが終わりました。本当に長いですね、だいぶ端折ったのですが3回掛かりました。