takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

19年前に起きたカナダの原子力発電所の事故、冷却水185トンが建物内にあふれた

1994年(平成6年)12月10日、カナダ、トロント郊外にある原子力発電所 Pickering 2において、冷却器からの逃し管に亀裂が入り、冷却水が原子炉の建物内に漏れ出しました。経緯を簡単に説明します。

  • リアクター(原子炉)の炉心にある冷却システムの排水弁が開かれ、冷却水がコンデンサー (冷却システムの排水タンク) に移されました。
  • 次に、原子炉の自動遮断後に冷却システム内の圧力が増加したため、コンデンサーの排水圧力弁が開きました。
  • 逃し管が激しく振動したため、圧力弁への逃し管の 1 つに亀裂が入り、リアクターのある建物内に 185 トンの冷却水が流れ出しました。
  • 原因は、排水弁遮水壁の設計上の欠陥。加えて、コンデンサーの逃し弁およびパイプの材質 (銅) などの設計上の欠陥です。

 

//// 以下は、失敗知識データベースから転載します。

知識化

25 年間に渡って 1000 トン以上の重金属が飲料水源である湖に流れ出している。CN$7500000 を費やして配水管や排水弁の入れ替えを行ってきたが、それ以前に欠陥のある CANDU リアクタをすべて停止するべきだった。

背景

重水と天然ウラニウムを燃料に使用する CANDU リアクタには設計的に欠陥があり逃がし弁やパイプの亀裂による事故が顕著であり、1983 年から 1997 年までに A社の Pickering 原子力発電所だけでも 12 件の大事故が発生し、放射能汚染の原因となっている。

 

//// ここまで。

 

この事故は、放射線よりも重金属を含んだ排水が外部環境に1000トン(最終的に)も流出したことが問題になりました。日本のマスコミでも、一時期騒がれカナダの食品輸入に制限がかけられそうになりました(結果として制限は無し)。

一般の人としては、検査の結果問題無しと言われればそれを信じるしかありません。もっとも、現在は様々な機関が様々な考えで検査や調査を行いますから、本当に問題のあるものが先進国に入ってくることはないと思います。「心配で何にも食べられない」と言うなら、その方が危険です。

食べ物の汚染に対するリスク対策ですが、一番簡単で誰にでもすぐにできる方法があります。同じ所の同じものをたくさん食べないと言うことです。ようするに、リスクの分散、何を食べても僅かな汚染はあります(普通、汚染とは言いません)。ですから、色々なものを食べてひとつのものが集積しないようにすればよいのです。国産が安全だからと国産品ばかり食べる方が危険だと思います(この場合の危険とは非常に僅かな危険です)。

上記原子力事故とは何の関係もありませんが、例えばジャガイモにはソラニンやチャコニン(カコニン)、ソラマリンなどの有毒なアルカロイド配糖体が含まれていいます。ジャガイモは、古くから食べられているものなので、普通に流通して誰でも食べています。しかし、もしこれらが、現在急に改良され出現したものならWHOは、食品として許可しないはずです。

ジャガイモに含まれる有毒なアルカロイド配糖体は、品種や大きさによりばらつきがありますが、特に皮層や芽、果実に多く含まれます。そのため、食べる際には芽や緑色を帯びた皮は取り除かなければなりません。要するに、毒性のある食べ物なのです。

また、有毒なアルカロイド配糖体は加熱による分解が少なく、調理をしてもなくなることはありません。中毒症状は頭痛・嘔吐・腹痛・疲労感などで、毒性はそれほど強くはありません。しかし、子供の場合は発症量が大人の10分の1程度ですから、保育園、小学校の自家栽培による中毒例は年間数件ですが発症しています。

しかし、だからと言ってジャガイモの栽培や生産を急に中止して食べることを禁止したら、ジャガイモの毒で数年に一人程度亡くなるよりも遥かに多くの人が飢餓で亡くなると思います。