takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

安全対策を怠ったために橋が崩壊、サンシャイン・スカイウェイ橋で35名が犠牲に

1980年(昭和55年)05月09日、米国フロリダ州タンパ湾に架かるサンシャイン・スカイウェイ橋は、建設角度に問題があり船が橋脚に接触するなどの小さな事故やひび割れ発生などがありながら、対策が取られていなかった。そのため、視界が悪い嵐の日、橋の存在に寸前まで気づかなかった貨物船がサンシャイン・スカイウェイ橋の杭に激突し、約360mに渡って橋が落ちた。

 

事象

 嵐の中を運搬船サミット・ベンチャー号がタンパ湾に入ろうとする際、視界が悪くサンシャイン・スカイウェイ橋の南側の杭に時速10ノットで激突した。そのため、約360mに渡って橋が落下した。橋には車やバスが通行していたが、視界が悪かったため、橋の事故に気が付かず45メートル下の海面に落下してしまった。バス1台、車7台が落下し、35名が死亡。1名が負傷。さらにもう一台の車は、橋が落ちている場所のわずかに手前で車を止めることができ、搭乗者3名は這って安全な場所に避難した。 

 

原因

嵐の中で視界が悪く、橋が見えなかった。また、橋の設計に欠陥があり、橋の角度が船の通路に対して直角ではなかったため、橋の下を船が通過するのが困難であった。また、橋には安全デバイスなどが使われていなかった。加えて、小さな事故が事前に数件起きているにも関わらず、対策が取られていなかった。 

 

対策

新しい橋が建設され、1987年に開通した。この新しい橋は海上約54mにあり、大型船もナビゲートが容易に行えるような角度に設計された。さらに安全デバイスを設置し、予測できる船との接触に対応できるようにした。船が橋を崩壊する事故が起きた際には、非常事態警報システムが作動し、状況を利用者に通報できるシステムも取り入れられた。 

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

これも、ハインリッヒの法則に当てはまる事例だ。小さな事故の連発は大きな事故の元である。交通事故でも、多発する場所には何かしら問題がある。相手の位置関係を錯覚しやすい道路だったり、盲点となる場所が交差点だったりと状況は様々だが、調査すると原因は分かる場合が多い。決して、風水とか心霊スポット等ではないので、そちらには頼らない方が良い。

それにしても、全長9キロメートルの橋に小さな貨物船が10ノット程度でぶつかって360メートルにも亙って崩壊するというのは、珍しいと言えるだろう。貨物船の船長はさぞ驚いたことと思う。

この橋は、タンパ湾をショートカットする目的で建設されたもので、橋が崩壊してから新しい橋ができるまでの7年間は、湾をぐるりと回って反対側へ行く必要があった。距離にすると80キロである、經済的な損失も大きかったと思う。また、新しい橋の建設費用は24,400万ドル、現在は米国の観光名所の一つになっている。