takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

流出する技術と伝承できない技能

1952年(昭和27年)4月9日には、当時「もく星号」と呼ばれた、日本航空羽田発名古屋、伊丹経由福岡行の便が伊豆大島に墜落している。小型飛行機だった「もく星号」には乗客乗員合わせて37名が乗っていたが、その全員が亡くなっている。また、この頃は、飛行機運賃が高額だったため、社会的地位の高い人や有名な芸能人が乗っていた。そのため、当時の紙面を賑わせた事故として記録されている。

しかし、当時はまだフライトレコーダーやボイスレコーダーが装備されていなかった上、当時の航空管制や事故捜査は連合国軍の統制下にあったため、墜落事件の詳細は今もって不明な点が多い。と、言うよりも大まかな調査だけで打ち切られた感があり、この事故から教訓として残せるものは少ない。よって、「もく星号」墜落事故については、ここまでとして今回は別のお話。

 

技術と技能

技術は、危険なものを安全に制御し人や社会に役立てることを目的とした、形式知化された一連の体系と言って良い。飛行機でも、自動車でも、発電所でも欠陥があれば事故に繋がるが、安全に制御されていれば、人や社会にとって役に立つ。また、技術は形式知化されているから、流出したり盗まれたりもする。勿論、真似ることも可能だ。明治の開国以来、日本は西欧の技術を学んだり、真似たりして我が物としてきた。

一方、技能は、個人個人の暗黙知に属するものである。個人に内在する能力を高度に専門化したものであり、暗黙知であるがゆえに人や組織に伝えるのは難しい。また、技能には、カン、コツ、技、腕等が含まれる。加えて、最近ではスキル(Skill)と言うが、これは技能と同義語である。

そのため、高度な技能を必要とするものは容易に他で作ることはできないが、元々、そういった物は量産化されていないため(例えば、伝統工芸品)あまり問題になることはない。

ところで、すでに絶版になっているが、オーム社刊「技術とは何か (テクノライフ選書) 」・大輪武司著と言う本がある、技術士二次試験を目指す方は古本屋で探してでも是非お読みになった方が良い。技術士が目指すべき「技術」とは何かについて大変分かりやすく書いてある。