takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

酔っ払い船長による、エクソン・バルディス号の原油流出

1989年3月24日未明、米国エクソン社のVLCCエクソンバルディス号(214,861dwt,船齢3年)がアラスカのプリンス・ウィリアム湾で座礁した。本船は、アラスカ原油約20万トンを満載し、アラスカ州バルディス石油基地からロサンゼルスに向け航行中であった。座礁により、11の貨物油タンクのうち8タンクが、また、5のバラストタンクのうち3タンクが損傷し、事故発生後、数時間の内に船底破口部から原油約4万トン(24万バレル)が流出した。この油流出により2,400kmにわたる海岸線が汚染され、米国沿岸での過去最大規模と言われる甚大な海洋汚染を引き起こた。

 

 この事故を契機として、国際海事機関(IMO)において、事故の再発防止対策が検討され、大規模な油流出事故への国際協力の枠組みを定めたOPRC条約が1990年に締結され、さらに、1992年には海洋汚染防止条約(MARPOL)が改正され、タンカーに二重船殻構造が強制化された。

 

事故原因を調査した運輸安全委員会はタンカーの座礁を惹き起こした要因を次の4つに絞った。

  • 三等航海士が正しく操舵しなかった。当時船は自動操縦装置が作動していた。
  • 船長が航路の目視確認を怠った。 アルコールによる判断力欠如とみられる。
  • Exxon Shipping Companyは船長を監督する責任を果たさず、休養十分の適切な人員を配置しなかった。
  • 沿岸警備隊が有効な船舶交通システムを提供できなかった。

委員会は事情聴取のためエクソン社に対し乗組員の就業パターンの変更などを次々要求した。

 

//// ここまでは、ウィキペディア・他から省略・加筆して転載した。

 

世界の主要な船舶事故にも載っている大きな流出事故である。97年に日本海で発生した「ナホトカ号」事故は、6200トンの流出事故だからおよそ6倍の流出量と考えて良い。

ところで、海面に流出した「油」はどうなるのか、日頃の生活体験で考えれば大方、油は水面に浮いて膜を作ると予想されるはずだ。しかし、そうではない、暫くは海面を漂うが分解されることはなく小さな塊となって海底に沈殿する。そのため、流出した油は、なるべく早く、吸着マットに吸着させて回収する方法が良い。その際、拡散を防ぐためにオイルフェンスと組合わせて作業を行う。ただし、海水も一緒に吸い取ることになるため、5万トンの流出なら、10万~15万トン集めることになる。

その他、バイオレメディエーション(微生物を使用した分解・除去)やゲル化剤などは、あまり効果が出ていない。