takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

聖母の園養老院火災

1955年(昭和30年)2月17日午前4時34分ごろ、老女の捨てた懐炉の灰の不始末(漏電説、及びタバコの火の不始末説もあり)から「聖母の園」養老院1階「ペテロの間」から出火。消防と警察およそ200人が消火にあたったが、木造2階建て(延べおよそ800坪)と修道院聖堂(およそ70坪)、肥料小屋1棟を全焼し、午前6時15分頃に鎮火した。この火事で、収容中の老女143名(うち4名は出火当日は不在)のうち職員2人を含む計99人が焼死、8人が負傷する大惨事となり、大阪・千日前デパート火災、熊本・大洋デパート火災に次ぐ死者を出し、非商業施設としてはワースト1位の大火災となった。

この建物は開業当初より燃えやすい老朽化した木造建築であることが問題となっていたが資金不足のため改築や新築など抜本的な対策が出来ない状態で火災の前年にやっと消火器を何本か養老院内に設置する程度の対策しか取る事ができない経営状態だったという。被害が大きくなった原因として、燃えやすい老朽化した木造建築、火災対策の不備、付近の水利が悪かったこと(消防ポンプ車はそのためおよそ1キロ先の国立横浜病院の貯水池から消火用水をとらざるを得なかった)、収容者は就寝中でしかも足腰の立たない高齢者がほとんどで自力での避難が困難だったことなどがあげられる。

 

ここまでは、ウィキペディアからから省略して転載した。////

 

数日前にも、長崎の養護施設グループホーム「ベルハウス東山手」で4名が死亡する火災があった。自力で逃げることのできない人を多数介護している施設は、全国に多く存在する。(2011年時点で介護を必要とする人は40万人+予備軍、施設数は大小併せて全国で6000箇所。)

2月15日の日本経済新聞の記事では以下のことがかいてあった。

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排煙設備の不備を見落とす 長崎市、介護施設火災で (日経新聞記事)

4人が死亡した長崎市のグループホーム「ベルハウス東山手」の火災で、長崎市は15日までに、施設を2010年4月に緊急点検した際、排煙設備に建築基準法上の不備があったのを見落としていたと明らかにした。

 市建築指導課によると、同法は延べ床面積500平方メートル以上の一定の建物に排煙設備の設置を義務付けている。市は点検の際、施設が入る建物が増築され設置対象となっていたのに見落とし、500平方メートル未満だった増築前の資料を基に「不備はない」と結論付けた。

 火災後にあらためて施設を調べた市は、1階廊下に窓がなく、居室の窓が開く面積が狭いといった排煙の不備に気付いた。このほか、1階食堂に火災から避難するための非常用照明がないなどの不備も見つかった。

 市建築指導課の池田利介課長は「当初は一生懸命調べたつもりだが、結果的に不十分だった。今後は指導を徹底する」と釈明した。10年の緊急点検は同年3月の札幌市のグループホーム火災を受け、国土交通省の依頼で実施された。

 県警の司法解剖の結果、4人の死因は一酸化炭素中毒で、煙を吸ったのが原因とみられている。〔共同〕

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私は、民間企業の生産工場に勤務している。工場は、平成3年に新設され現在22年目、これまでに3回の増築を行った。私の経験では、「市は点検の際、施設が入る建物が増築され設置対象となっていたのに見落とし」てなどくれない。むしろ、大きくなるに従って厳しく色々指摘される。介護施設と工場では見方が異なるのかも知れないが、消防署の職員は厳しくチェックする。まして、長崎の介護施設は特定防火対象物のはずだ。工事が行われる際は、事前に図面等を届け、許可を貰ってから工事を行い、完成してから検査が入る。「当初は一生懸命調べたつもりだが、結果的に不十分だった。今後は指導を徹底する」と、課長さんは釈明したらしいが、本当に「一生懸命」調べたのだろうか。

勿論、最初に書いた「聖母の園」養老院の頃は、そんな法律は無かったろう。防火設備も現在のような優れたものは無い、古く乾燥した木材でできた建物は、午前4時半から6時半の2時間で全焼している。100名以上が入所していたのだから、それなりの大きさのはずだ。就寝中であれば、健常者でも逃げるのがやっとだと思う。長崎の方は、今後調査が進めばもう少し詳しく原因が分かるだろう。特別介護施設は、今後も増えるだろう、入りたくは無いが自分も何時の日かお世話になるかもしれない。悲惨で、無駄なお金もかかる火災事故は、極力防止したいと思う。