takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

今度は集英社の「小説すばる新人賞」に応募します

今年最大の失敗は、小説が上手く行かなかったことです。

新潮社の日本ファンタジーノベル大賞ダメデした。

 

でも、今度は集英社小説すばる新人賞に応募します。(3月31日締め切り)

 

これとは、別に「小説家志望」と言う小説も書いています。

 

その一部、小説家志望の主人公、宮川浩成が、自分の子供にドストエフスキーカラマーゾフの兄弟を説明するシーン。

(これを書くためにこの歳で「カラマーゾフの兄弟」を読み返した努力を知って欲しい。皆さんには、何の関係もありませんが。)

 

「お父さん、この漫画のストーリー、ちょっと聞いてくれる?」

 なんだ、漫画か。内心、浩成は思った。小説の方に興味を示してくれれば、と思わなくはないが、せっかく娘が話してくれるのだから、

「分かった、聞くよ」

 と、頷いた。

「ええとね、北欧神話をベースにしてみたの。悪魔の兄と、天使の弟っていう2人が登場人物の主軸でね、でも神様と悪魔は戦っていて、兄弟も争いあってるんだけど、悪魔である兄はずっと争いに右往左往して悩む人間たちのことを思ってるの。一方でね、天使である弟はずっと神様が正しいと思っていて、それで、ええと」

 言葉に詰まった真理香が、はあ、と肩で大きくため息をついた。

「こういうストーリーにしたいんだけど、キャラクターだけがうろうろしてる感じで、全然話がつながらないわけ」

カラマーゾフの兄弟って知っているかい?」

「なにそれ?」

ロシア文学で有名なドストエフスキーは?」

「あ、聞いたことある。授業でやったかも。でもカラマーゾフの兄弟ってやつは、読んだことないな」

 アイディアが書かれたノートを借りて、浩成は説明を始めた。

 かいつまんで言えば、ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟とは「神と自由を問うストーリー」だ。1人の大金持ちの父親と、その4人の息子たちが中心となる。父親がある日殺され、大金が消え去り、いったい誰が殺したのかというのが、非常に大まかなあらすじだということを、まず浩成は真理香に説明した。

 さらにそれぞれの登場人物のかかわりを、簡単にノートに書いていく。ロシアらしい長い名前を、すらすらと書いていく浩成に、真理香は驚いた。話を聞いていて興味を持ったのは、長女の愛香である。

「私も聞きたい」

 そう言った愛香に驚きつつ、浩成はうなずいた。娘たちを部屋に招き入れ、簡単に書いた登場人物の相関図を見せて、尋ねる。

「ここまでの説明は?」

「うん、分かる。でも神様の話じゃないみたい、あらすじだけ聞くと、それミステリーだよ」

 愛香が言うと、浩成はうなずいた。

「そのとおり。平たく言えばミステリーだ、最初だけ読んでいくと、父親と仲が悪い長男が明らかに怪しいし、物語の登場人物もそう考えてしまう。だけど実は、真犯人は……この人だ」

 簡単に描かれた登場人物同士の相関図、そこにつけられた丸に、真理香は目を見開いた。

「ええ、うっそ、この人?」

「そうだ、驚くだろう? ここが面白いところだ。でも、結局、罰せられるのは長男だ。長男はしかも、何も抵抗せずに犯罪者として捕まってしまう。だれも彼の無実を信じなかったし、真実を知るものが本当のことを言っても、誰もそれを正しいとは思わなかった。もしも神が実在するのなら、この真実が明るみに出ているのに、罪を持つものが法的に正しく罰せられることはなく、命を自ら断つことを選択した。ではそもそも、罪は法的に罰せられれば許されるのか? どう思う」

「む、難しいよ……」

 床で頭を抱えだした真理香に、浩成はそうだな、と続ける。

「真理香の言う世界では、神様が正しいものが正しいのだろう? でも人間には被害が出ていて、悪魔という一見すると悪そうな立場が人間を心配している。そこに焦点を当ててみよう。人間達は天使である弟を信じたい、でも本当に救ってくれるのは悪魔である兄だと分かるが、それは神様的には正しくないから人間たちは罰せられてしまうんだ。それで『天使である弟を信じておけばよかった』と、救われたのに後悔する。ハッピーエンドじゃないが、こんな終わり方もあるってことだ」

「はぁ、うーん」

 真理香は納得しているような、しないような表情を浮かべた。

 

 

この小説家になりたい、主人公は市役所の公務員です。

また、ディスクレシア(文章が理解できない)障害を持っています。もう一つ、人の気持ちが理解できない、アスペルガー症候群(コミュニケーション障害)でもあります。

そんな男が小説家を目指します。

でも、たったこれだけ書くのにカラマーゾフの兄弟を読み返すのは効率が悪すぎでした。ドストエフスキーは久しぶりに読んだのですが、若い頃よりも面白かったです

昔は、「くどい」と感じたところも、今は「なるほど」と感じました。不思議なものですね。漱石や鴎外なんかは、今も昔も変わらぬ面白さです。

今度は、再び「悪霊」を読んでみたい。