何もしないで体重が変わる?
1㎏はどこまで1㎏ですか?
何もしなくても体重が変わるのは自然のことです。
人は代謝がありますから、常に変化しています。
ここで言うのはそのことではありません。
1キロの基準が変わるのです。
長さの基準は?
長さの基準が光速に置き換えられたのは、1983年でしたが、メートル原器の場合はそのもっと前の1960年に役目を終えていました。
長さは、1790年代に地球の子午線の4,000万分の1が1メートルと決められ、その後1872年に30本のメートル原器が作られました。日本にもNo22が届いています。
しかし、いから白金とイリジウムで作っても経年変化は避けられません。
そこで1950年、メートルの定義は、クリプトン-86が真空中で発する電磁スペクトルであるオレンジ色‐赤色の発光スペクトルが示す波長の1650763.73倍と等しい長さへと変更されました。
この「0.73」という半端な小数点以下部分は、あくまでメートル原器の長さに波長数を合わせたために入れた数値です。
要するに、大きく変わるとすでにメートル原器で作ったものが沢山ある訳ですから不都合だったのです。その後さらにメートルは、不確実性の低減を目指し、1983年の第17回CGPMでメートルの定義はさらに変更され、現在用いられている「光速」と「秒」で表す方法になりました。これはセシウム原子時計が発明され、からできたことです。
いずれにしても、電子工学の力が測量や加工技術の誤差を埋めて正確な1メートルを定義出来るようになったのです。
しかし重さの基準は難しかった
他のSI基本単位は普遍的な物理量に基づく定義に改められてきたのに対し、キログラムだけが人工物に依存する単位として残っていました。
今回の発表は、それを克服できたことの発表です。
ちなみに、日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.176mg重いことが分かっています。1㎏に対して0.176mgの誤差は大きいですよね?
体重50㎏の女性なら(そんなに無いと言わないで下さい)8mgの差です。
(どうでも良いか?)
話を戻します。
そして、毎日新聞の記事の中にもありますが「日本が単位の基準に関わるのは初めて。創薬や微粒子を測る環境計測など微量を扱う分野に活用できる」とのことです。
科学技術の世界ではこんなつまらないことも、丹念に調べてコツコツ行っていると思って下さい。