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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

エッシャーの滝

オランダの版画家、エッシャーに永久機関を彷彿させる作品があります。

 

閉じた水路を滝が循環して流れる不思議な「だまし絵」です。水は高低差があるからこそ流れ落ちます。滝が水路を1周して元の位置に戻るはずはありません。戻るはずはないのですが、この絵に描かれた滝の流れをたどっていくと、どういうわけか出発点に帰ってきてしまいます。一瞬,狐につままれたような気分に陥る奇妙な世界がそこに広がる訳です。

マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher, 1898年6月17日~1972年3月27日)は、オランダの画家(版画家)でした。建築不可能な構造物や、無限を有限のなかに閉じ込めたもの、平面を次々と変化するパターンで埋め尽くしたもの等、非常に独創的な作品を作り上げました。

エッシャーは、1958年に著した『平面の正則分害』のなかで、なぜ正則分割を使うかについて語り、正則分割幾何学的要素について例をあげて説明しています。そして図と地に関する重要な問題を解き明かしながら形態を変容させる展開へと導いています。
しかし、この作品の構図はどうやって思いついたのだろう?と考えてしまう作品ばかりで、この特殊な絵を考えついた、特殊な才能に驚くのです。

もちろん,これは目の錯覚を利用したものと言ってしまえば、それだけです。

でも、この独特で幻想的な画風と幾何学的に巧妙なテクニックは、観る者に驚きを与え、不思議な感覚の中に連れ出されてしまいます。

『平面の正則分害』の中には、発想のヒントになるようなこんな文章もあります。

 

最初は,図形を系統的に作り上げる可能性についてどんなアイデアも持っていなかった。私はなにも「基本原理」を知らず,どうすればよいか見当もつかないまま,動物に見たてた合同な形を入り組ませようとしていたのだ。

しかし基本原理に関する多くの文献を研究し,とりわけさまざまな可能性を考えさせた素人理論が形成されるにつれて,数学の訓練を受けていないための限界はあるが,それでもだんだんと新しいモチーフのデザインがたやすくなってきたのである。

私はそれに取りつかれたように心を奪われ,本当のマニアのように浸りきって,時々そこから自分自身を引き離すのが難しいほどであった。

 (強調は、匠習作)

文献を研究し、書物を読むことで、「新しいモチーフのデザインがたやすくなってきた」のが、本当なら凄いことです。本を読んで絵のデザインができるのでしょうか?

本人がそう言うのですが、これは何か違うのではないかと思います。

何度も絵を描いて、行き詰まって、また描いて、そして文献を研究して、この繰返しの中で、絵を描いたことを省いて説明しているのではないかと思います。

冒頭で紹介した、滝の絵は、永久機関を思い出させます。

永久機関は、世界の技術史を調べる上で、欠かせない要素の一つです。これから、何回かに分けて、このエッシャーの絵にちなんだ、永久機関のことぉ書いて見ます。

それほど、長くは書きません、3~5回程度で終るでしょう。