B.5.b の概要を翻訳しました
以下、法とジャーナルからの引用です。
2001年9月11日に航空機を使った同時多発テロで枢要な施設を攻撃されたことを受けて、米政府の原子力規制委員会(NRC)は翌2002年、「原子力施設に対する攻撃の可能性」に備えた特別の対策を各原発に義務づける命令を出した。それはのちに「B.5.b」と呼ばれるようになり、米国では原子力業界の知恵を取り込みながら進化していった。日本の原発はそうした動きから取り残され、それが福島第一原発事故の拡大の原因となった。
すっかり有名になった「B.5.b」ですが、今は全文を手に入れることができません。
しかし、概要は今でも手に入ります。
そこで、苦手な英語克服の勉強を兼ねて翻訳に挑戦しました。
なるべく平易な日本語にしたつもりです。
英語の得意な方は、間違い探しと思って読んで下さい。
また、原子力の安全対策を考える上で重要な指針です。賛成派も反対派も読んだ方が良いと思います(本当は全文を)。
原子力発電の装置自体に詳しい人なら、これを読めばチェックリストを想像できると思います(そんな人はここにこないでしょうけど)。
オリジナルは、上のリンクで見て下さい、PDFになっています。
また、専門的な話は読みたくないけど、どすれば事故を防ぐことができたのか、簡単に説明してくれ、と言う方に一言でせつめいします。
- 非常用のバッテリー(タイヤが付いて持ち運びできるもの)
- バッテリー駆動のコンプレッサー
- ケーブル、ホース
これらを複数箇所に用意し、日頃から想定訓練をしていれば防止できたのではないかと思います。万里の長城のような、防潮堤はコストパフォーマンスが悪すぎです。
以下、私の拙い訳です。(太字強調は私です。)
ワードで書いてコピーしましたが、改行が少しおかしくなりました。
ステーション・ブラックアウトと高度事故緩和(B.5.b)の概要
原子力規制局エンジニアリング部門ディレクターPat Hiland
2011年4月28日ステーション・ブラックアウトの背景
• 1975年発行のWASH-1400「原子炉安全研究(Reactor Safety Study)」において、ステーション・ブラックアウト(SBO)は原子力発電所事故の総合リスクの重要な寄与因子であると示されている。
• 1980年に当委員会は、ステーションSBOの問題を未解決の安全問題(USI)A-44「ステーション・ブラックアウト」として指定した。
• NRCは、1988年6月21日に最終SBO規則(10 CFR 50.63)を発行した。
• SBO規則は、各発電所に、SBOイベントの対処と復旧が可能となるように要請した。
ステーション・ブラックアウトスタッフ評価
• NRCは、1988年8月に規制指針(RG)1.155「ステーション・ブラックアウト」を発行し、NUMARC 87-00業界指針によるSBO規則の導入を支持した。• スタッフによるレビューの時点で、104か所の発電所すべてがSBO規則の要件を満たしていた。
– 安全評価– パイロット検査
• ライセンス更新申請のレビュー―スタッフは、10 CFR 54.4(a)(3)および10 CFR 54.21に従ってSBOに必要とされるシステム、構造、要素の範囲および経年化管理を検証する。
ステーション・ブラックアウト―新規原子炉
• すべての新しい標準原子炉の設計には、SBOを8時間にわたって対処可能な異なる設計を備えた代替AC(AAC)電源を含めねばならない。
• パッシブ設計を備えた新しい原子炉は、バッテリー電源で72時間にわたりSBOに対処する。
B.5.b 要件
2001年9月11日の事件後にNRCが課した要件
• 暫定補償措置命令EA-02-026
• 免許条件
• 10 CFR 50.54(hh)(2) 10 CFR 50.54(hh)(2)
「免許所有者は、爆発や火災によって発電所の広い領域が損なわれる事故が発生した際に、炉心冷却、格納、使用済み燃料プールの冷却機能の、維持または復旧を目的とする指針および戦略を策定および導入すること……」
ステーション・ブラックアウト準備と対処
原子炉規制事務所エンジニアリング部門部長George Wilson2011年4月28日 SBO規則
• 連邦官報規則10CFR50.63「全交流電力の損失」
• SBO規則は各発電所に、SBOイベントからの一定期間の復旧および対処を可能とすることを要請している
• NRCは1988年8月に規制指針(RG)1.155「ステーション・ブラックアウト」を発行し、NUMARC87-00業界指針によるSBO規則の導入を支持しているSBO対処• 規則は、プラント固有のSBO期間を計算する方法について、指針を提示している。
• 対処期間は、以下の要因を基盤としている。- オンサイトの緊急時AC電源の冗長性- オンサイトの緊急時AC電源の信頼性- オフサイト電源の予測される損失頻度- オフサイト電源の復旧に必要な時間
• SBOイベントはオフサイトまたはオンサイトの電源が復旧したときに終了する対処方法
• 独立AC– 44か所の発電所はバッテリーのみに依存している– 最大持続時間は4時間
• 代替AC– 60か所の発電所はこのカテゴリに該当する– 余剰能力を持つ隣接した装置の非常用ディーゼル発電機– ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、水力発電装置– 付録Aディーゼル発電機
SBO規則のスタッフレビュー導入
• NRCのスタッフが、全104の発電所が提出したSBOの安全評価を、検証し承認した。
• NRCのスタッフがNRCのTemporary Instruction(仮指示書)2515/120を用いて8か所の発電所(1地域2か所)をパイロット検査した。
• 検査結果から、免許所有者はNRC要件とスタッフの安全評価に従ってSBO規則を導入していることが明らかになった。
設計概要
• バッテリーで設備に対処―最大対処時間は4時間
• 負荷制限によりバッテリー寿命を必要な時間まで延ばすことができる
• 換気の損失による影響
• コンデンセート、圧縮空気、RCSインベントリの妥当性を検証
• SBOのための手順を開発
• 操作員の訓練SBO手順
1. AC電源復旧のための具体的アクション
2. 支援装置をAC無しで機能させる
3. 蒸気駆動ポンプに高い優先度を置く
4. RCSの漏れ経路を特定する
グリッドインターフェイス
• グリッドインターフェイスの強化– グリッドオペレータがネットワークを毎日評価– 劣化したグリッド条件のためのプラント手順– 開閉所のプラント制御作業– 電源を復旧するためのTSOに高い優先度を置く– NERCのための新しいガイドライン
まとめ
• 1990年にSBOを導入していた米国の発電所はわずか1か所(約1時間)
• 以下によりSBOの適合性を評価– 免許の更新– 電源の更新– 免許改訂要求– 新原子炉
• スタッフはFERCと協力し、将来、世代の混合や伝達システムの更新などによる変更があったときも信頼性の維持に努める。
大規模損傷緩和ガイドライン(B.5.b)原子炉規制事務所方針及び規則制定部門シニアプロジェクトマネージャーEric E. Bowman 2011年4月28日B.5.b 戦略
• 指定された事務所のみ使用する詳細―セキュリティ関連情報
• 重要な安全機能を実現するための代替方法を提供する柔軟かつ展開可能な戦略 段階的方法
• 段階1―直ちに入手可能な資料と人材
•段階2―使用済み核燃料プール
• 段階3―炉心冷却とコンテインメント段階1― すぐに入手可能
• 既存のプログラムと装置
• 初動対応の成功事例
• 分析から得られた学び 段階1 戦略
• 理解のメモ
• 消火活動の強化
• 受動的対策段階2―使用済み燃料プール冷却
• 補給水
• 冷却スプレー
• 電源の独立性 段階3―炉心冷却とコンテインメント
• 発電所の仕様に基づく重要な安全機能
境界条件:
• すべての内部配電の損失
• 最少人員SBOのB.5.b戦略有用性
• 入口条件はSBOよりも保守的
• 戦略を使用することで重要な安全機能の供給時間を延ばせる可能性がある。
用語
• B.5.b―命令EA-02- 026セクションB.5.b「後続免許条件」および10 CFR 50.54(hh)(2)の削減戦略要件
• SBO―ステーション・ブラックアウト