takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

『読書』という体験

昨年暮れから今年にかけて、2冊の本を取り上げてここで書きました。

プルーストとイカ』、『意識をめぐる冒険』です。

私は、本を読むのは割と早い方です。普通の新書なら2時間くらいでしょう。40歳を過ぎてから、小説はほとんど読まなくなりましたが、夏目漱石の『明暗』を数年前に読み返した時、日曜日を使って4時間くらいでした。

と言って、「速読」を学んだりマスターしたりという訳ではありません。「速読」そのものには全く興味がありません。正直、眉唾ものだと思っています。

早く読むのは簡単です。アウトプットのために答えを探すつもりで読むと早く読めます。この本から「〇〇を見つける」と決めて読めば、関係無いところは目で追うだけですから、早く読めるのです。私はこれを「探し読み」と言っています。別に悪いことではありません。本は、情報をインクで紙に印刷したものですから、その情報を探して、自分の都合で使うのですから理に適っています。必要もないのに全て丹念に読む方が理屈にあいません。本を読むために生きているのではありません。

しかし、『プルーストとイカ』、『意識をめぐる冒険』のように、情報を仕入れるだけではない本もあります。作者の話をじっくり聴いて、質問をまとめノートを取りながら読み進める本は、読む終るまで2~3日あるいは4~5日かかります(1日あたり3時間くらい)。これは、私にとって作者との対談みたいなものです。ですから貴重な『体験』です。

時々、「本で読んだ知識なんて全く役に立たない、実際に体験しないとダメだ」なんて仰る方がいます。それは、一部正しいと思います。そんな読み方もあるからです。飛ぶようにページを捲って、書いてあることを「なるほどね~」と読めば、知識の吸収だけで終るでしょう。小説なら、「あ~面白かった」で終るでしょう。

しかし、そうではないまさに「体験」と言うに相応しい読書もあります。毎年、年初の思います、「今年はどんな体験ができるだろうか?」と。

年に数回、池袋のジュンク堂を上から下まで降りながら、「体験」できる本との出会いを求めています。素晴しい体験のときは、皆さんにもお知らせ致します。