記憶
(エビングハウスは(ドイツの心理学者・1850年1月24日~1909年2月26日。)
人はどれくらいの早さで記憶を失うのかをある程度数値化したものです。
ただし、これは無意味な音節の羅列であって意味のある言葉ではありません。
データは色々なところにあってどれも似ていますから、元は同じなのだと思います。
ウィキペディアには以下の様に説明されています。
1.実験
エビングハウスは、自ら「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節(rit, pek, tas, ...etc)を記憶し、その再生率を調べ、この曲線を導いた。結果は以下のようになった。
20分後には、節約率が58%であった。
1時間後には、節約率が44%であった。
1日後には、節約率が26%であった。
1週間後には、節約率が23%であった。
1ヶ月後には、節約率が21%であった。
2.節約率
この一番上のグラフは経過時間ごとの節約率を表している。節約率とは一度記憶した内容を再び完全に記憶し直すまでに必要な時間(または回数)をどれくらい節約できたかを表す割合である。式で表すと
(節約率)=(節約された時間または回数)÷(最初に要した時間または回数)
(節約された時間または回数)=(最初に要した時間または回数)-(覚え直すのに要した時間または回数)
例えば、最初にritを覚えるまでに10分を要し、20分後に覚え直すと約4分を要したとする。この場合、覚え直すのに最初と比べ、6分節約したことになる。すると節約率は 6(節約された時間)÷10(最初に要した時間)=0.6= 60% となる。
また、最初にpekを覚えるのに40回の書き取りを要し、1時間後に覚え直すのに22回要したとする。この場合、最初に比べ、18回分節約したことになる。すると節約率は 18(節約された回数)÷40(最初に要した回数)=0.45= 45% となる。
注意すべき点は、このグラフは節約率を表しているだけに過ぎず、記憶量を表しているわけではないということである。つまり、20個の単語を覚え、24時間が経過すれば、そのうちの74%に相当する15個の単語を忘れている、というわけではないということである。
3.考察
記銘してから、1日の間に急激な忘却が起こるが、その後の忘却は緩やかに起こる。この実験で使用されたのは相互に関連を持たない無意味な音節であり、学問などの体系的な知識では、より緩やかに忘却が起こると考えられる。また、再認可能な「忘却」と「完全忘却」を区別していないという批判もある。
※記銘(きめい)は情報を覚えこむこと。
人間は無意味な言葉の羅列を覚えられないから、上記のような結果になります。
研修などで、講師がこのデータを使って「人間は話の内容をすぐに忘れてしまいます・・・・」と話すのは、エビングハウスのデータを使った「嘘の話」です、あるいは、本人がエビングハウスの忘却曲線の本質を忘却しているのかもしれません。
では、反対に忘れにくくするにはどうすればよいのでしょう。
基本的には以下の6つの方法を使って記憶を強固なものにします。
- 有意味化:無意味では忘れます。ですから無意味なものに、意味をもたせます。
- 組織化:バラバラな知識を系統立てて覚えるようにします。ルール化とも言います。
- 連想:2つの知識をくっつけて覚えることです。新しく覚えることとすでに覚えていることがつながると覚えやすいものです。
- 視覚化:映像化です。視覚的なイメージは記憶に残りやすいものです。
- 興味:対象に興味をもって接することです。好きなことは誰でも覚えます。
- フィードバック:覚えたときに誉めて貰う。あるいは、覚えられないものを復習して覚えることです。
これらを単独、あるいは複数で使います。
試験勉強をしていると、途中から急に記憶力が良くなることがあります。要するに、理解が進むと他に覚えたことと連想して記憶できるため、頭に入りやすくなるのです。
私は、これまでに3回、「現代用語の基礎知識」を全て読んだことがあります。10年に1回やっていますが、やはり忘れてしまいます。しかし、全てを忘れることもありません。その片隅にある記憶の残滓が、新しい情報と結びついて記憶を助けてくれます。
1冊読むのに通勤電車の中だけだと1月かかりますが、10年120ヶ月の中の1ヶ月です。ぜひお試し下さい。