takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

過去に向かって歩いてみよう-3

 この後は暫く更新世と呼ばれる少し寒い時代が続きます。

 大陸の形は現在とほとんど変わりません。しかし、氷期間氷期の氷床の拡大・縮小による海水準変動に伴って、海岸線の位置が移動しました(もっと簡単に言うと両極の氷が溶けたり凍ったりして海水の量が変化したのです)。更新世の後期では海水準にして百数十メートルの変動があったことが分っています。海水準が低下した時期は、現在浅い海である海域の多くが陸地となっていました。
 氷期間氷期は、繰り返されおよそ250万年のあいだに総計で15回の氷期があったことが分っています。その主たる要因はミランコヴィッチ周期、言い換えると地球の回転軌道の性質からもたらされる変化のために生じる太陽放射量の変動です。

今度は、一気に進みます。

 126歩目、スタートから88.2メートルです。12万6000年前、後期更新世の始まりです。ここでは、ホモサピエンス同士の戦いを見ることになるでしょう。頭は大きいのですが、頭頂が平たく潰れ知能は低いネアンデルタール人と、我々の祖先ホモサピエンスサピエンスの戦いです。邪悪な侵略者だった我々の祖先は、戦いの末ネアンデルタール人を滅ぼします。近親憎悪と言いますか、同じ仲間同士では共存しなのが人間なのかもしれません。

 781歩目、546.7メートル歩きました。よほど、長い公園でも行き止まりになるかもしれません。時間にすれば10分程度ですが眼前には、涼しい草原が広がります。78万1000年前。中期更新世はこの頃から始まります。そこには、ホモ科のヒト属は存在しません。有名なホモ エレクトス ペキネンシス(北京原人)はこの頃、活動していました。打製の雑な石器や火を使用していたことは分っています。

ちなみに、北京原人の仲間である、ジャワ原人やその他アフリカで見つかっている原人達は、我々の祖先ではありません。私たちに繋がる原人はただ一種、他は全て滅んでいます。

 1806歩目、1264.2メートル歩きました、20分程度でしょうか。タクシーならまだメータは上がりません。皇居を走れば1/4の距離です。時代は前期更新世の途中、カラブリアンと呼ばれる時代です。ホモ ハビリス(器用なヒト)が活動していた時期です。アウストラロピテクスはすでに滅んでいます。また、あるいはホモ ハビリスは、アウストラロピテクスから枝分かれした子孫なのかも知れません。

 2588歩目、スタートから1811.6メートルです、30分は歩きましたね。時代は更新世の初期、ジェラシン期が始まる時期です。或いは地質年代の第4期が始まる時です。地質年代は、その殆どが、生物の大量絶滅を境に決められていますが、この第4期だけは、ヒト属の出現を元に決められています。258.8万年前、アウストラロピテクスの化石はこの頃のものです。

3回に分けて、時代を遡って行きました。距離の感覚と時代の感覚は一致しましたか?

 250万年前とピラミッド時代の差は、思った以上ではなかったですか?時間は目に見えませんが、距離は目に見えます。そのため、4000年前を4歩、100万年前を1000歩として比較すると比較しやすくなります。このようなたとえ話が上手なのがリチャード ドーキンスなのです。