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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

あの頃は燃えた、熱かった『日本オーディオ界』の70年代、80年代-11

科学技術

 カセットテープ、オープンリールテープは、どちらにもヒスノイズのよばれるノイズが入り込みます。

 ヒスノイズは、高音域に発生するノイズでその原因は樹脂テープに磁性体を塗布する時の不均一差によるものです。テープの音を聴いたことのない若い方は別にして私と同年配の方ならテープを聴いていて無音の部分で「サー」とか「シィー」という音がするのを覚えている方も多いと思います。これは、常に発生している音ですから、クラシック音楽のように演奏の中にピアニシモや無音の部分があると、耳障りな音となって聞えてきます。

 そのノイズを少しでも減らして邪魔な音を無くそうという考えからドルビーを初めとするノイズリダクションが考え出されました。

 ノイズリダクションの原理は簡単です。最初に考え出された一番単純な方法は、12500Hzより上の領域はカットしてしまうというものです。しかし、この方法では音楽の高音域も消去されてしまします。そのため、プロの音楽家からは不評で普及しませんでした。

 早く、広く普及したノイズリダクションは、「ドルビー」です。これも原理は単純です。

 ヒスノイズが耳につく高い周波数の入力音声信号を、テープに記録する際にレベルを上げて記録し、再生するときには元のレベルに下げて再生する、これがドルビーの原理です。ただし、その後、細かな改良が加えられてドルビは、A、B、C、SR、S、MPXと種類が増加して行きます。ドルビーの原理で録音再生すると、、聴感上ヒスノイズが低減されました。

 しかし、単純にレベルを上げるだけでは、大きな入力レベルの時に磁気ヘッドが飽和を起こしてしまい、まともに記録できません。そこで、大きな音の時にはノイズが聞こえにくいという、人間の耳のマスキング効果を利用し、入力レベルが大きい時には倍率を上げず、小さい時には倍率を上げる、圧縮記録の考え方を用いていているのです。最も入力レベルが小さい時には150Hz付近からレベル上昇させ、5kHz付近でのS/N比が約10dB改善されるように設定されています。

 これによるメリットは、S/N比の改善、ダイナミックレンジの拡大です。逆にデメリットもあります。大きなデメリットは、テープまたはデッキの周波数特性に乱れがあるとそれが拡大されることです。録音時にバイアスと録音レベルの調整を正しく行わないと正しく再生されないのです。パンピング(動的副作用)と言って、パルス性の信号(木管とかドラムとか)に対して、再生時に追従しきれずにノイズが聞こえてしまうこともあります。

 ドルビーで一番評価が高かったのは、「ドルビーC」と言ってよいでしょう。ドルビーCは、簡単に言うとドルビーBを2回通したようなものです。ですから、効果もおおよそ2倍です。また、ドルビーBタイプは高域のみのノイズ低減効果を実現したものでしたが、Cタイプでは高音に加え中音域のノイズ低減も実現しています。

 さらにCタイプでは、過大信号が入力されたときに磁気飽和することを防ぐ目的で伸張操作を行い(アンチサチュレーション)、これにより歪みを少なくすることができました。これらの操作により、入力信号のスペクトラムの山谷は小さくなります。その結果録音レベルを高く設定することができ、より高いノイズ低減効果を得ることができたのです。

 もっとも、効果が2倍であれば、音に対する影響も2倍でした。言い換えると、音質の変化も2倍あったのです。ですから、一部も音キチは、ドルビーなどのノイズリダクションを嫌い、ノイズも音の内とノーマルで聴くことを好みました。

 また、最近では若い方もドルビーを使用していないそうです。


35歳未満の95%、「ドルビーNR」使用経験ナシ - カセットテープ・デッキに関するマイナビニュース調査 その1 | マイナビニュース