生きているもの(生物)-2
生き物の条件
- ある程度以上の複雑な構造を持っている
- 外界と自分自身を分ける膜・壁で囲まれた細胞を持つ
- その、膜や壁を通じて代謝を行う
- 自分の複製を作り自己増殖する
この4つ全てに当てはまるものが生物だとすると、細胞を持たないウイルスは生物ではないということになります。しかし、ウイルスは単独で増殖はできないものの、他の生物の細胞を利用して増殖することができ、自分の遺伝子を次世代のウイルスに渡すことができます。また、単独で増殖できないのはウイルスだけの特徴ではありません。リケッチアやクラミジア、ファイトプラズマなど一部の真正細菌や真核生物にも同様の特徴を示すものはあります。やはり最大の違いは、細胞を持つか持たないかでしょう。加えて、ウイルスは細胞を持っていませんからエネルギーの合成もできません。宿主細胞のエネルギーを利用するのです。
ウイルスは、生物として認められていませんが、いくつかの生物的特徴は持っています。ですから、進化の過程の中で生物と密接な関係があったのは事実でしょう。いきものではないが、生き物的な存在、それがウイルスです。
現在、終息しつつあるようですが、アフリカで大暴れのエボラ出血熱もその生物的な存在である、エボラウイルスが原因です。宿主である人間がいないとエボラウイルスも増殖できないのですが、その宿主を殺しています。やはり、不思議な存在です。
ウイルスについてですが、ウイルスに「殺菌」という言葉を使うのは間違いです。菌ではありませんし、生き物ではないウイルスを殺すことはできません。ワクチンも殺菌したとは言わず、不活化したと言います。面倒ですが、そういう面倒な存在がウイルスという生きもののような存在なのです。
続きます。