takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

倫理問題を考えよう:トロッコ問題-3

 トロッコ問題は、今日で終わりにします。

 これまでの選択肢は、色々ありました。これを一貫した理屈で説明することはできるでしょうか。例えば、「私は人の命に干渉しない」、だから何もしない。とか、「私は功利主義者だから、常に数の少ない方を犠牲にする、橋の上の男も線路上にいる男も子供も1人であれば価値は同じだ」と解答すれば一貫していることになります。ですが、残念ながらそう言う人は滅多にいません(私は遭ったことがありません)。

 このブログを読む皆さんはどうですか?

 読むだけではなく、ご自分で考えて下さい。正解はありませんから、考えた結果をコメント欄に書いても景品は出ません。

 技術士試験の倫理問題でこのような問題はでません。しかし、工学倫理の勉強会で以下のような問題を話し合ったことはあります。

 川の上流には数千人が働く企業(工場)があります。その工場近くの下流側では数家族(10数人)が川の水を使って生活しています。

 あなたは、企業の人間です。あるとき工場の廃液を検査していて致死性のものではありませんが、有害物質が規制値を遙かに超えて排出されていることに気づきました。上司に話すと「人が死ぬ訳ではないし、下手をすれば工場が閉鎖になるかもしれないから黙っていろ」と言われます。

 工場が閉鎖になって数千人が職を失ってもこのことを公にすべきでしょうか。それとも、10数名の地元住民のことは忘れて秘密を守るべきでしょうか。

 要するに、大勢の利益のために少数を犠牲にするのかの問題です。

 このような、問題に対する考え方も昔の公害問題を思い出して頂ければ分るとおり、時代によって変化します。現在の中国の環境汚染を見ても同じです。

 では、元に戻ってトロッコ問題は、時代によって考え方が変化するでしょうか。これも、各自考えて下さい。私は、トロッコ問題は時代による影響を受けないと思います。逆に、工場の廃液の問題は影響を受けると考えます。現在なら、閉鎖にならなくとも多額の賠償金を取られ、廃液の浄化装置を取り付けることになるでしょう。