森鴎外も読もう
漱石の作品中、自分のベスト5を選んで大雑把に紹介しました。技術屋の書いた文学の話ですから信用しないで読んでください。生年や発表年などは、全集の最後にある年表を元に書いています。
さて、漱石が一区切り付きましたので今度は、鴎外です。おそらく、漱石よりは読んでいる人も少ないはずです。現在、新潮文庫や岩波文庫から代表的な作品が出版されています。しかし、全て読みたい人は、ちくま文庫の全集を購入するのが良いと思います。全14巻、18,074円です、日記や評論も入っています。在庫切れになっていますが、中古なら手に入ると思います。
私は、昭和58年4月25日初版第15刷の全集を持っています。文庫本ではありません、単行本で全9巻の全集です。鴎外の作品は、後期の歴史小説に名作が多いのですがその中から5作品を選び、その5作品を順番にご紹介します。
現代を題材にした小説(以下は、ウィキペディアから引用しました)
- 舞姫 (『国民之友』、1890年1月)
- うたかたの記 (『国民之友』、1890年8月)
- 文づかひ (吉岡書店、1891年1月)
- 半日 (『スバル』、1909年3月)
- 魔睡 (『スバル』、1909年6月)
- ヰタ・セクスアリス (『スバル』、1909年7月)
- 鶏 (『スバル』、1909年8月)
- 金貨 (『スバル』、1909年9月)
- 杯 (『中央公論』、1910年1月)
- 青年 (『スバル』、1910年3月–11年8月)
- 普請中 (『三田文学』、1910年6月)
- 花子 (『三田文学』、1910年7月)
- あそび (『三田文学』、1910年8月)
- 食堂 (『三田文学』、1910年12月)
- 蛇 (『中央公論』、1911年1月)
- 妄想 (『三田文学』、1911年4月)
- 雁 (『スバル』、1911年9月–1913年5月)
- 灰燼 (『三田文学』、1911年10月–1912年12月)
- 百物語 (『中央公論』、1911年10月)
- かのように (『中央公論』、1912年1月)
乃木希典の殉死以降(歴史小説)
乃木希典は、大正元年(1912年)9月13日、明治天皇大葬が行われた日の午後8時ころ、妻・静子とともに自刃して亡くなっています。鴎外は、そのことに衝撃を受けて、それ以降現代を題材とした小説は書かなくなりました。乃木希典の自刃直後に書かれた「興津弥五右衛門の遺書」は、ある意味自死礼賛の小説です。
- 興津弥五右衛門の遺書 (1912年10月、『中央公論』)
- 阿部一族 (『中央公論』、1913年1月)
- 佐橋甚五郎 (『中央公論』、1913年)
- 大塩平八郎 (『中央公論』、1914年1月)
- 堺事件 (『新小説』、1914年2月)
- 安井夫人 (『太陽』、1914年4月)
- 山椒大夫 (『中央公論』、1915年1月)
- じいさんばあさん (『新小説』、1915年9月)
- 最後の一句 (『中央公論』、1915年10月)
- 高瀬舟 (『中央公論』、1916年1月)
- 寒山拾得 (『新小説』、1916年1月)
森 鷗外は、文久2年1月19日(1862年2月17日)生まれ、大正11年( 1922年)7月9日に亡くなっています。亡くなる数年前から作品と呼べるようなものは書いていません。ただ、史伝として書かれた、澁江抽齋 (『東京日日新聞』『大阪毎日新聞』、1916年1月 - 5月)に続く、伊澤蘭軒、北条霞亭は完成したとは言えない作品です。
漱石と違って作品の多い鴎外ですが、無理やりベスト5を決めます。
5位:舞姫(少し無理やり)
4位:かのように
3位:最後の一句
2位:高瀬舟
1位:阿部一族
明日から、順番にご紹介いたします。