takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

『世界でひとつだけの幸せ』マーティン セリグマン著

 人はだれでも、幸せになりたいと思っているはずです。本書は、幸せになるための心構えに重点をおいて様々な事例から主張の正しさを裏付ける論法をとっています。あなたは、自分をネガティブだと考えていませんか?そんな人のためにこの本はあります。この本はネガティブな人をポジティブに変身させる本ではありません。あなたのネガティブさをポジティブに考えろと主張しているのです。さあ、あなたの幸せが待っています。

 米国心理学会会長を務めたセリグマン博士は、「人は幸せでポジティブな気分の時に成功する」と繰り返します。なぜなら、「一生懸命努力すれば成功する」あるいは「成功した時にようやく幸せが手に入る」のではないからです。博士の「ハッピネス アドバンテージ」理論は、多くの読者に斬新な視点を与え、仕事や人生に対しても前向きな気持ちにさせてくれることでしょう。

 なぜ人はポジティブな感情とネガティブな感情を持っているのか?ポジティブに生きるとどういった原理でどれほど「幸せ」なれるのか? こんな質問に対して博士は様々な角度から答えようとしているのが行間からもよく分かります。人によっては、「本当に科学的厳密な証拠はあるのか」と疑いの目を持つ人もいるかもしれません。しかし、この本で繰り返される「ポジティブに生きよ!」と言うメッセージは、将来の不安や周りの人たちとの関係に悩む現代人に慰めやアドバイス以上のプラスαを与えてくれます。

 この本には、多くの心理テストが載せられています。例えば、まだ「幸せとは何か」が説明されていない第一章の終わりに、あなたの幸福度を測定するテストが出題されます。しかし、心配無用です、テストには感じるまま答えていけばよいのです。ですから、読者は本文を読み始める前に先ず、その心理テストをやってみると良いでしょう。本文を読んでからだと余計な知識が頭に入ってテストに対して素直に答えられなくなるかもしれません。そのテスト結果を踏まえて本文を読み進めましょう。博士は、ポジティブに考える姿勢→悪いことが起きたらそれは一時的なことと考え、良いことが起きたらそれは永続的なことの一部と考える。と熱い思いで悩むあなたを説き伏せます。

 本書の最後にセリグマン博士はこう書いています。

「良い人生とは、毎日の生活の主要な領域で、自分の強みを使うことによって引き出される幸せの中にある。有意義な人生とは、人生を豊かにするのと同じ強みを使って、さらに知識や力、善良さを促進することだ。」