takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

環境学、あるいは環境工学、お薦めの本はこれです。

『環境危機をあおってはいけない』ビョルン ロンボルグ著・山形浩生訳:文藝春秋社(2003年6月刊)

 デンマーク統計学者が書いた環境問題に関する提言です。一時期、温暖化懐疑論の方々にはカリスマ的な存在になりましたが、ロンボルグは温暖化は間違いだと言っている訳ではありません。そこは、誤解されています。上下2段組の本で573頁もありますから、読むには少し時間が掛かります。また、本の後ろに586~671頁にかけて参考資料が並べられています。この資料だけでも十分な価値がある本です。(参考資料は文藝春秋社のサイトにPDFでまとめられていますから、ダウンロードも可能です。http://www.bunshun.co.jp/se
「世の中は、良い方向に向かっている」と言うのが全体を貫く主張です。IPCCと同じデータを使って繰返し主張しています。人類および環境危機に対して私達が持つ認識は、最新の科学や環境機関、メディアによって人為的に作られたものだと断言しています。
 この本を読むと、この人は本当にグリーンピースに入っていたのだろうかと考えてしまいます。

 

『環境リスク学』中西準子著:日本評論社(2004年6月刊)

「リスク評価」と言う言葉を定着させた本と言って良いでしょう。ダイオキシンが騒がれなくなったのもこの本のお陰です。リスク評価、ようするに目に見えない環境影響の性質や大きさを見えるようにすることです。ご本人もそう言っています。また、一つ一つは小さな影響しかなくても、二つ、三つと重なると大きな影響になる場合もあります。それを過去の事実から推測し、統計的に数値化する。我々が感覚的に危ないと思っているものがそれほど高いリスクではなく、安全だと思っていることが非常に高リスクで驚かされることがあります。この本は、リスク評価について詳細に教えてくれます。
 

今日は、時間切れのためここまで。