takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

アトミック パワー・大いなる力の制御-6

 ここで、単位の話をもう一度。

 ジェームズ ワットは、健康な馬一頭が可能な仕事率を計測し、この単位を「馬力(horse power)」と名づけました(正確には英馬力)。この用語は、馬に取って代わった自動車の仕事率を表すために、いまでもごく一般的に用いられています。

英1馬力を現在の数値で表現すると「1秒間につき550重量ポンド(lbf)の重量を1フィート(ft)動かすときの仕事率」(550 lbf·ft/s)となります。

 話はややこしくなりますが、フランスはメートる法でこの仕事率を定義しました。もちろん、英馬力に近似して定義されています。その定義は、「1秒間につき75重量キログラム (kgf) の重量を1メートル動かすときの仕事率」(75 kgf·m/s)となっています。

ワットで表すと、

1英馬力は約745.700ワット。

1仏馬力は約735.498ワット。

日本では、これを法律で定義して、1仏馬力= (正確に)735.5 ワット(計量単位令第11条第2項)としています。

 元々、馬の力を測定して求めた数値ですから、小数点以下には深い意味はありません。もっと言えば、1馬力 = 1000ワット(1KW)でも良かったのかも知れません。

また、日本では馬力を「PS」(大文字)で表示します。「horse power」なら「hp」のはずですが、これは、ドイツ語の「Pferdestärke(馬の力)」から頭文字の「ps」を取ったようです。例外もあるかもしれませんが、アメリカやイギリスの自動車メーカはHP、bhpを使用していますし、ヨーロッパ諸国のメーカは、psを使用しています(大文字と決めているのは日本だけ?)。

 馬車の時代、4頭立ての馬車は、身分の高い人しか乗れませんでしたが、現在の自動車ならインドの格安セダンでも、40PS(40馬力)つまり40頭立ての力があります。昔ならどんな王侯貴族でも乗れなかったでしょう。

 

 ついでですから、エネルギーの単位を整理します。エネルギーの単位にはジュールとカロリーがあります。

1 ジュール = 1 N · 1 m = 1 ニュートン・メートル = 1 kg · m2 · s-2

と定義されていますが、これでは分かる人にしか分かりません。

 1ジュールは、地球上でおよそ102グラム(小さなリンゴくらいの重さ)の物体を1メートル持ち上げる時の仕事に相当します。また、カロリーは、水1グラムの温度を1度上げるエネルギー量(熱量)です。1カロリーをジュールに変換すると4.2ジュールとなります。

 

 さらに、エネルギー消費の早さ、つまり仕事率を表す単位が前述のワットです。ワットとジュールの関係は、1秒間に1ジュールの仕事率です。言い換えると、1秒間に1回の割合で102グラムの物体を1メートル持ち上げる作業で毎秒使われるエネルギーが1ワットです。

1ジュール = 1ワット秒、

1キロジュール(KJ)=1000ワット秒

あるいは、消費電力1KWh = 3.6×1,000,000ジュール、これは覚えておいた方が良いと思います。