takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

アトミック パワー・大いなる力の制御-4

 もう一度、発電時に必要な燃料の比較をします。大いなる力の制御-1の時に書きましたが原子力発電では、計算上出力100万KWに対し1日3キロの燃料が必要です。しかし、実際は全部を使い切ることはできずロスがでます。そのため、1年間で2.1トンほどのウランが必要になります。では、他の燃料と比較してみましょう。

出力100万KWの発電所を1年間運転するために、必要な燃料。

 

  • 濃縮ウラン - 2.1トン
  • 天然ガス  - 93万トン
  • 石油    - 143万トン
  • 石炭    - 221万トン

 

 こんな、感じです。これは、物質としての重量あたりの熱カロリーと発電効率によって決まります。これが水力だと、例えば東京電力黒部ダムなら高さ28.7メートルの落差を利用して最大出力は12万7000KWです。また、マスコミは騒ぎますが、いわゆる「メガソーラー」は100万ワットのことであり、キロワットを基準にする火力・原子力の千分の一に過ぎません。出力100万KWの火力発電所は国内に数多くおありますが、1ヶ所でメガソーラー1000ヶ所分に相当します(稼働時間を考慮するともっと必要です)。

 石炭火力は、大気汚染が問題になります、中国では年間数百~数千人が大気汚染のために亡くなっていると言うデータもあります。しかし、日本の場合集塵・脱硝・脱硫装置の性能は最高クラスですから心配いりません。海を越えて中国から飛んでくる汚染物質の方が怖いくらいです。ただし、石炭火力発電からは、微量の放射性物質が排出されます。これは、国内でも環境中に出ているでしょう(石炭にはウランやトリウムが含まれています)。

 石油の発電所の新たな建設は、1979年以降法律で禁止されているため新しい発電所はありません。今、動いている所はそれ以前に建てられた発電所だけです。3・11以降は、総発電量に占める火力発電の割合が増えて石油火力発電の割合も10%だったものが16%まで増加しましたが、発電所が増えたわけではなく稼働時間が増えただけです。加えて、元々、総発電量の50%以上を占めていた火力発電ですが、現在は80%を越えています。天然ガスを世界で一番燃やしているのは、日本です。

 ところで、私自身は、原子力発電をそれほど危険なものとは考えていません。他の発電方法も危険なところは多くあります。ですが、社会基盤の安全リスク(安全基準)は、社会全体で決めるものと思っています。ですから、大勢が危険だと考えるなら原子力はやめた方が良いでしょう、逆に稼働させた方が良いと考えるならより安全な原子力発電を作るべきだと思います。ずっと後になりますが、福島原発の事故もこうすれば大事故にならなかったという方法も説明したいと思っています。

 いずれにしても、再生エネルギー、自然エネルギー、水力、火力、原子力と並べて、メリット、デメリット、コストをできるだけ正確に比較してエネルギーの基盤を整備すべきだと考えます。変な言い方ですが、エネルギーの価格ドットコムがあれば良いと思います。先ずは、このブログを使って小規模ながら個人で作ってみます。