読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

アトミック パワー・大いなる力の制御‐1

 原子力発電(nuclear electricity generation)とは、原子核分裂力を利用した発電です。

 現在の日本で主力の発電であるガス火力発電なら、天然ガスを燃焼させたエネルギーで水を沸騰させ蒸気を発生させます。石油や石炭も原理は全く同じです。原子力発電がこれら火力発電と異なるところは、ウランを「燃焼」させてエネルギーを得ているのではないということです。原子力発電は、原子核が分裂するときに発生する熱エネルギーで高圧蒸気を作り、発電機のタービンを回します。大雑把に言うと、原子力発電装置は、核分裂を行う原子炉格納容器と発電機、そしてそれを繋ぐ配管(高圧蒸気が流れます)で構成されています。化学的な燃焼ではないので、二酸化炭素は全く発生しません。

 現在のところ、核融合発電は完成されていませんから、全ての原子炉は核分裂反応を利用しています。核分裂反応は、中性子を補足した原子が、2つ以上の別の原子に分裂することです。原子炉の燃料である、ウラン235は、中性子1個を吸収するとウラン236になり、すぐにクリプトン92とバリウム141に分裂します。92と141を足すと233ですから、3足りません。つまり、3個の中性子を放出するわけです。これが、またウラン235に1個づつ吸収され連鎖的に核分裂が続きます。ただし、中性子を吸収したウラン235は必ず核分裂を起こす訳ではありません、15 %程度の確率でガンマ線を放出し、ウラン236のまま基底状態に陥る事があります。

 また、前述したように、核分裂反応時は反応前の質量(236)よりも反応後の質量の方が小さくなります(233)。この質量差がE=mc2(質量×光速の2乗)の関係式に基づき、膨大なエネルギーへと変わります。このエネルギーで、水を沸騰させ高圧蒸気を発生させて発電用のタービンを回します。

 ウランの核分裂反応で放出されるエネルギーはウラン原子一つあたり約200 MeVです。これでは、何だか分からないかもしれません。私たちが普段使う単位に直してみましょう。200MeVをジュールに換算すると 3.2×10-11 J です。マイナス11乗ですから実にわずかなエネルギーですが、これはウラン原子1個から放出されるエネルギーであることを忘れてはいけません。1グラムのウランに含まれる原子数はアボガドロ定数NA を質量数A で割ることで計算できます。やってみましょう、簡単な掛け算と割り算です。

 

NA/A = 6,02 × 10の23条 molマイナス1乗/235g/mol = 2,56 × 10の21乗gマイナス1乗

 

 数式が上手く書けないので見ずらいですね、ようするに1グラムのウラン235の中には2.56×10の21乗 個の原子核が含まれていることになります。この1グラムのウラン235が全て核分裂を起こすと8.2×10の10乗 J のエネルギーが生まれます。

 これを原子力発電で考えてみると、熱変換効率は30%程度ですから、出力100万キロワットの発電機では、300万キロワットの熱エネルギーを発生させなければなりません。これを大雑把に計算すると、1日あたり3キロのウラン235が必要になります。実に少ない量だと思いませんか?