takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

ロルフ マキシミリアン シーベルトさんだけは覚えましょう-3

 ロルフ マキシミリアン シーベルト氏(1896年~1966年)には、ルイス ハロルド グレイ氏(1905年~1965年)と言う名の同時代を生きたお友達がいます(本来の意味の友人ではありません、単位の仲間としての意味です)。

 

 ある物質が放射線に照射されたとき、その物質の吸収線量を示す単位がグレイ(記号 Gy。定義 J/kg)です。生体(人体)が受けた放射線の影響は、受けた放射線の種類と対象組織によって異なります。そのグレイ(吸収線量値)に、放射線の種類ないし対象組織ごとに定められた修正係数を乗じて線量当量シーベルト(線量当量)を算出します。その算出式は、以下のようになります。

 

 Sv = 修正係数 × Gy

 

 修正係数は、放射線の種類によって値が異なり、X線、ガンマ線ベータ線は1、 陽子線は5、 アルファ線は20、 中性子線はエネルギーにより5から20までの値をとります。言い換えると、同じ量の放射線を被曝しても、中性子の場合は、医療で使用されるX線などよりも5倍~20倍も人体に与える影響が強いことが分ります。

 ちなみに、日本人は世界標準で見ると平均的に医療放射線(治療・検査を含めて)に被曝する量が多いようです。日本人の平均寿命は世界のトップクラスですが、人工放射線の被曝と平均寿命には相関がないことが分っています。まあ、個人的な感想ですが、あまり気にすることはないと思います。もちろん、無用な被曝はたとえ低線量であっても避けるべきです。しかし、体の具合が悪くて検査を受ける必要がある時は、被曝のことは忘れて検査を受ける方がプラスになるでしょう。どうしても、気になる方は、医師と相談すると良いでしょう。

 また、一時期空港の搭乗検査で使用される後方散乱X線検査装置の僅かな被曝のことが話題になったことがありました。はっきり言ってバカな話しです。あの検査装置で被曝する量より、上空1万メートルを5~6時間飛行した時の方が被曝量は多くなります。ハイジャックやテロの危険を考えると、後方散乱X線検査装置はメリットの方が遙かに大きいと思います。それとも、あれはテロリストが流したデマだったのでしょうか?それなら、納得できます。

 これで、3日連続で放射線のことを書いていますが、原発の問題があるのでその予備知識として書いているつもりです。テクノロジーのことを一般に書くとき、読み手を、「その問題について専門知識はないが、知的な人」と想定します。どこまで書けるか分りませんが技術士試験関係以外では、原発事故のことを書く予定です。