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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

『マクベス』、私のナンバーワン悲劇-2

名台詞の前にマクベスを簡単に紹介します。

 

先ずは登場人物

  • 三人の魔女
  • ダンカン:スコットランド王
  • マルカム:ダンカン王の長男
  • ドナルベイン:ダンカン王の次男
  • マクベス:グラミスの領主、スコットランド軍の将軍
  • マクベス夫人
  • バンクォー:スコットランド軍の将軍
  • フリアンス:バンクォーの息子
  • マクダフ:ファイフの領主
  • マクダフ夫人

 

シェイクスピア全作品解説、あらすじ

 

雷鳴と稲妻のなか、三人の魔女が登場し、謎めいたことばを発します。

Fair is foul, and foul is fair.

 

フェアー(Fair)はフェアプレイやフェアレディーのフェア、また、ファウル(Foul)は、ファウルボールのファウルです。

我が恩師福田恆存は、この部分を「きれいは穢い、穢いはきれい」と訳しています。この台詞を聞けば誰だって、「何を言ってるんだ」と思うはずです、まともな人間ならこんな訳の分らないことは言いません、そうです、だから魔女なんです。シェイクスピアは、この台詞だけで、登場人物が魔女であることを観客に教えているのです。

 

スコットランドの将軍マクベスとバンクォーは、ノルウェー軍を討伐し、ダンカン王陣営への帰路、ヒースの荒野で三人の魔女から予言のことばをかけられます。グラミスの領主マクベスは、やがてコードーの領主、ついで、スコットランド王となり、バンクォーはその子孫が王になると言う予言です。言い終わると魔女はすがたを消します。その直後、王よりの使者が登場し、マクベスコードーの領主に格上げされたことを伝えます。にわかに魔女の予言が現実味を帯び、マクベスは、王位への野望を抱き始めます。

夫である、マクベスからの手紙により、魔女の予言を知らされたマクベス夫人は、勇敢な将軍でありながら反面、気弱な善人でもある夫をそそのかし、力ずくで王位を手に入れさせようと考えます。心の中がどす黒い色になって行くことを感じている時に、ダンカン王が今夜、マクベスの城に泊まるという伝令が入り、夫人は時が来たことを知ります。王に先立って城に戻ったマクベスも、すでに暗殺の決意を固めていました。深夜、マクベスは王の暗殺に成功しますが、すぐに良心の呵責に苛まれ、「マクベスは眠りを殺した」という声を耳にしておびえます。夫人は気丈にも、王を刺し殺した短剣を、眠りこけている見張りの兵士に握らせ、血まみれになった自分の手を見ても水で洗えばすぐ落ちると、気にもとめません。

王を起こしにやってきたマクダフは、惨事を目にします。素知らぬ顔で起きてきたマクベスは、王の変事の報を受け、見張りの兵を謀反人として、その場で殺すが、王のふたりの息子(マルカム、ドナルベイン)は危険を察知し、イングランドとアイルランドへと逃げのびます。

話は単純ですがマクベスはこれで首尾よく王位を手に入れます。しかし、マクベスには、子供がいません、つまりこのままでは予言どおり、バンクォーの子孫に王位を奪われることになると気がかりでならないのです。そこでバンクォー父子に刺客を向けます。結果、バンクォーの殺害は果たしますが、息子は取り逃がしてしまいます。同じ日の夜、王就任の祝宴の席で、マクベスだけが、いるはずのないバンクォーのすがたを見て取り乱します。これが王位からの転落の始まりとなります。

不安から逃れたい一心で、マクベスは魔女の洞窟をおとずれ、自分の将来を予言してもらいます。そこで魔女は、マクダフに気をつけろ、マクベスは女から生まれた者には決して負けない、バーナムの森が動かぬかぎりマクベスは滅びない、という予言を告げます。マクベスはさっそく、マクダフに刺客を向け、残忍にもマクダフ夫人と息子を殺しますが、マクダフはすでにイングランドへ逃げのび、前王の子マルカムとともに、マクベス討伐の準備をしていました。

一方、マクベスの居城では、破滅の命運を暗示するかのように、気丈だったマクベス夫人が夢遊病で苦しんでいます。毎夜、眠りながら歩き回り、まだ手から血のにおいが消えない、血のしみが消えないと、深いため息をついています。悪夢のなか夫人がもらす寝言から、お付きの者たちは、王夫婦が犯した大罪を知って震えます。

いよいよ、戦いがはじまると、マクベス側の領主たちは次々に離反します。しかし、魔女の予言を信じるマクベスは、虚勢を張り続けます。バーナムの森が動かなければ負けないと予言されていたからです。森が動くはずはありません。しかし、マルカム軍が、兵力を隠すために身に付けた木の枝を、バーナムの森と勘違いし森が動いたからはこれまでと、死の覚悟をします。最後、マクダフとの一騎打ちで、マクダフが「女」から生まれたのではなく、月足らずで腹を裂いて生まれたことと聞かされ、はじめて魔女のことばにまどわされてきた自分に気づきます。

斬りとられたマクベスの首が全軍に掲げられ、マルカムが高らかにスコットランド王即位の宣言をして、劇は終わります。

 

あらすじとしては、こんな感じで単純です。王位の略奪から転落まであっという間です。しかし、それが贅肉のない筋肉質な作品の良さになっています。名台詞は、明日解説します。